特集

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2020年5月号 No.518

特集 写真家 山崎エリナ ×建設業

写真家・山崎エリナさんと
本財団の理事長・佐々木基との対談を掲載

写真集を通して−
写真家/ 山崎エリナ 氏……(以下、山崎
建設業振興基金 理事長/佐々木 基……(以下、佐々木

 

ひたむきに取り組む表情やふと見せる笑顔から伝わる魅力

佐々木 以前出版された山崎さんの写真集(『ただいま おかえり』)を拝見しました。風景はもちろん、被写体の表情がとても素敵ですね。
山 崎 作り込んでいない自然な表情だからだと思います。挨拶をしたとき、ふいに笑顔を向けて挨拶を返してくれた瞬間の写真などです。
佐々木 最近撮られている建設業の現場や職人の方の写真を見ても、雰囲気や表情にすごく惹かれるものがあります。
山 崎 「こっちを向いて笑って」など、こちらから指示を出して撮った写真は一枚もないんです。ひたむきに作業に取り組むシーンだったり、フッと顔を上げて笑顔を見せる瞬間などを撮らせてもらっています。
佐々木 だから全く不自然さがないんですね。こんなに臨場感のある写真を撮れるものなんだな、と感銘を受けました。
山 崎 現場でコミュニケーションをとるたび被写体の方との心の距離も縮まっていくので、懐に飛び込みやすくなります。最近撮影したトンネルの工事現場なども、以前は女性が入りづらい習慣があると伺っていたんですが、皆さん快く撮らせてくれました。

「こんな仕事に就きたい」と思わせる心を惹きつける姿

佐々木 こちら(写真1)がトンネルの工事現場ですね。

山 崎 はい。工事の前の安全祈願祭から立ち会わせてもらい、トンネルの工事現場というのは本当に神聖な場所なんだなと感じました。土ぼこりが立ち込める中、掘削するたびに石の質などをチェックしながら進めていく、丁寧できめ細かな作業が印象に残っています。
佐々木 こうした場面は一般の方の目に触れることがないですよね。
山 崎 じつはこの写真を見て「こんなかっこいい仕事に就きたい」と求人に応募してきた方たちがいたんです。私自身も「かっこいい!」と思いながら撮っていたので、その思いが若い方にも伝わって嬉しかったです。
佐々木 それはすごい!こうした姿を写した一枚に、言葉だけでは伝えきれない、人を惹きつける強い力があると感じます。こちら(写真2)も同じトンネル工事の現場ですね。


山 崎 はい。トンネルが貫通して、完成を迎える瞬間の現場監督の横顔です。まだ監督としては若い方だったんですが、工事を進めていく中でどんどん顔つきもたくましくなっていきましたね。完成を迎えた際にどんな想いかを伺うと、「やっぱり、うれしいですね…」と、言葉にならない思いを吐露されていて。目を潤ませた表情に、この現場への想いを感じました。
佐々木 その場の感情がそのまま伝わってくるようでとても好きな一枚です。こちら(写真3)は逆にマスクやヘルメットで表情が見えない分、目の前の仕事に取り組むひたむきな様子を強く感じます。


山 崎 季節は冬でしたが、打設時の熱で猛暑のような暑さだったのを覚えています。まっすぐに立っていられないような狭い環境の中で、一心にコンクリートを流し込む作業の迫力に魅了されました。私も体をもぐりこませて、汗だくになりながら撮影しましたね。
佐々木 ものすごく集中されている現場の雰囲気が伝わってきますね。こちら(写真4)は作業をしている方を離れた場所から撮っていますが、それがとてもいい雰囲気を出しているように思います。


山 崎 トンネルの完成後に壁面を丁寧に確認されている様子が、とても幻想的に映って。たとえ表情でなくとも、一生懸命な姿を写すことで、熱量や想いが伝わるんじゃないかと思っています。

(写真1〜4 写真集『トンネル誕生』より4点転載)

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