特集

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2020年2月号 No.515

建設業の魅力を伝えるために今すべきこと

不安を抱える若手技能者を丁寧な面談や研修で支援

入職者拡大に加えて力を入れているのは、「入社したら辞めさせない」社内サポート体制の強化。その取り組みの一つが、面談を定期的に行い、若手の話をじっくり聞くことです。

「高校を出たばかりの若手は精神的に不安定なところがあるので、サポートが必要です。不安なこと、悩んでいることがあったら、その場で一緒に解決しようと言っています」(大久保さん)

「私たち大人にとっては当たり前の事でも、彼らにとっては大問題ということがよくあります。話を聞かないと具体的に何に悩んでいるのか理解できず、解決策が立てられません。話した内容は現場にも伝えます。月1回の職長研修会では、今の若者にどう接すれば良いのか、落ち込んだときにどう鼓舞すれば良いかといった情報を共有しています」(木戸さん)

また、現場に出るまでに新人研修を丁寧に行うのも、若手を辞めさせないための工夫です。最初の4カ月間は現場に一切出さないで、資材センターでベテランの職人から技術を習得。さらに、5月と11月に富士教育訓練センターで約1カ月間の合宿研修を行い、その後も必要に応じて研修を続けていきます。

「最初の1年間は、たとえ現場にいても戦力として考えていません。どんなに実践的な研修を受けていたとしても、現場と研修は違いますから」と、木戸さん。

現在、入社3年後の離職率は「残念ながら、5割近く」。
「トライ&エラーを繰り返しているという部分はありますが、いろいろな工夫をして時代に合わせて変えていこうという気概はあります」(木戸さん)

「建設業は、きつくて危険、汚い、朝早い、ルールも厳しいというイメージがありますがこれからは、明確な給与・休日体制、希望のもてる職場といった、クリーンな方向に向かう時代です。そういった職場環境を整備するのが、私たち会社側の役目。そろそろ働かせる側の意識を変えて、業界全体で“働かせ方改革”をしていかなければと感じています」(大久保さん)

取組POINT
  • “ターゲット校”を年3回訪問し、高校との信頼関係を深める
  • 高卒入職者の条件面を改善。月給制とし、給与額を4大卒レベルに上げ、休日や休日出勤手当についてもルール化
  • 若者の離職に歯止めをかけるために職長による面談や丁寧な研修を実施
  • 業界が一体となって、働かせる側の意識を変える“働かせ方改革”を推進

 

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