特集
持続可能な建設業へ向けた変革
民間サービスの乱立から“全体最適”へ
電子商取引の共通基盤『CI-NET』がもたらす企業間連携
■ 建設業界が抱える、民間サービスの多様化による非効率という課題
建設業の調達や商取引は、発注側企業が多数の協力企業に業務を発注する一方、受注側企業も複数の発注側企業と取引関係を持つ「多対多構造」にあります。現在、発注・契約・請求の領域において非常に数多くの優れた民間ITサービスが提供されていますが、各システム間には基本的に互換性がありません。発注側企業が自社に最適なシステムを個別に導入した結果、受注側企業は発注側企業ごとに異なる複数のシステムへの対応を強いられる事態に陥りがちです。重複する初期費用や利用料の負担、操作方法の習得、場合によっては各システム専用の処理要員を手配せざるを得ないなど、受注側企業の負担は大きくなっており、個々の企業のデジタル化がかえって建設業界全体の効率性を阻害するという「全体最適からの乖離」が深刻な課題となっています。
■ 標準ルール『CI-NET』の仕組みとメリット
この課題を解決するための一つの方策が、建設業における電子商取引(EDI)の共通基盤である『CI-NET(Construction Industry NETwork)』です。CI-NETの特長は、企業間でデータを交換する際の「通信方法」と「データ項目」を完全に標準化している点にあります。

これにより、発注側企業と受注側企業がそれぞれ「異なるベンダー(サービス会社)のソフトウェア」を使用していたとしても、双方がCI-NETのルール(実装規約)に準拠したシステムであれば、システムをまたいでスムーズに電子データの交換を行うことが可能です。受注側企業は、発注側企業が変わるたびに新しいシステムに加入し直したり、社内に複数の端末を並べて手入力を繰り返したりする必要がなくなります。見積から契約(注文・注文請け)、出来高・請求にいたるデータを転記なしの一気通貫で連携できるため、転記ミスの防止にも繋がります。さらに、印紙代や郵送費の削減によるコスト削減、着工前契約の徹底によるコンプライアンス強化を実現し、生産性向上にも大きく貢献します。
■ CI-NET助成事業の成果報告:新たに250社への導入を達成
本財団では、このCI-NETの普及をさらに加速させるため、本助成事業において「電子商取引(CI-NET)導入支援」を設けました。新たにCI-NET(見積・契約・出来高・請求業務)を導入する中小建設企業、および利用範囲を出来高・請求業務等へと拡大する企業を対象に、1社あたり上限50,000円の助成金交付を実施いたしました。その結果、250社への助成金交付が決定し、総額11,963,500円(2026年7月末時点累計)の支援を行いました。これにより、業界標準であるCI-NETに準拠した電子商取引の基盤が大きく拡充され、建設業界全体の「多対多構造」において、見積や契約のデジタル化・効率化を推進し、業界全体の業務最適化に向けた強力な一歩が踏み出されました。
【冊子PDFはこちら】




