特集

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2022年3月 No.536

登録経理講習がスタート!「建設業経理士CPD講習」

本年1月より、「建設業経理士CPD講習」が実施されています。本稿では、本講習の実施までの経緯や内容だけでなく、これまでの建設業経理に関する試験制度を振り返ることにより、講習本来の意義等について、改めて明確にしておきます。

【1】建設業経理に関する試験制度等

1. 建設業経理事務士検定試験制度の創設

建設産業は、住宅・社会資本整備や防災等を通じて、国の基幹となる骨組みを構築しながら、地域の経済・雇用を支える重要な役割を果たしている産業です。一方、建設産業はいわゆる多重階層でピラミッド型の構造が特徴となっており、建設産業を構成する建設企業のほとんどは経営基盤の脆弱な中小企業です。これら中小建設企業の経営基盤を強化し、経営の近代化を図ることは、業界全体の長年の課題であり、現在に至っても課題が山積していると言ってよいでしょう。

企業会計との関係では、会計関連の諸法規(会社法・金融商品取引法)において、建設業を別記事業として位置付けており、建設業法に基づく許可を受けた建設企業は、一般の産業と区別され、建設業法のもとに規定された会計を実施しなければなりません。

このように、建設産業を構成する中小企業が建設業会計の特殊性を理解したうえで、日常の会計処理を行い、かつ、それを経営に活かしていくことはこの業界の近代化にとって不可欠であると言えます。このような状況下において、建設業振興基金は建設業会計に関する知識の普及および処理能力の向上を目的として、昭和56年に「建設業経理事務士検定試験」制度(1級~4級)を創設しました。

昭和59年には、建設省告示第1,415号において「建設業経理に関する知識及び処理能力の審査・証明事業認定規程」が定められ、同第1,522号において、建設業振興基金が実施する「建設業経理事務士検定試験」が本規程に基づく認定を受けました。これにより建設業経理事務士は単なる民間資格ではなく、建設大臣認定資格として位置付けられることとなりました。なお、建設大臣認定資格は、計装士、地すべり防止工事士など技術・技能系の資格が中心であり、建設業経理事務士は唯一の事務系資格でした。

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