建設産業における女性活躍推進に向けた取組み

特集

2018年4月号 No.497

パネルディスカッション「建設産業における女性活躍の加速化について」

コーディネーター
籠田淳子氏 有限会社ゼムケンサービス代表取締役
パネリスト
村上育子氏 鹿島建設株式会社関西支店工事課長代理
根本希美氏 大和ハウス工業株式会社
當間ありさ氏 有限会社牧野建設
瀧口直美氏 株式会社牧山常務取締役
菅原綾子氏 株式会社内藤工務店
角崎由貴子氏 大成建設株式会社四国支店
青木由行氏 国土交通省建設流通政策審議官

後半は籠田氏から提起された「建設産業が抱える４つの課題」について活発な議論が交わされました。

菅原綾子さん

角崎由貴子さん

瀧口直美さん

當間ありささん

課題1　入職推進

籠田　「建設産業は男性社会のイメージが強い」といわれますが、みなさんが入職した際のイメージは？
菅原　父も建設業で働いていましたが、私の就職には反対でした。入職後数カ月は、男性ばかりの現場が怖く一人で現場に出られませんでした。でも話してみると優しい職人さんもいることが分かりました。
瀧口　いまでも「あれ、女の人？」と言われることがあります。ただ、最近は行政の担当者も女性が増え、そのおかげでやりやすくはなってきました。

課題2　女性が働きやすい現場環境の整備

籠田　ハード面ではトイレの問題、ソフト面では子育てや介護などとの両立の問題が出ています。
當間　最初の現場はトイレが男性と共用で汚かった。現在働いている那覇空港滑走路の現場には、鍵付きの女性用トイレを用意してくれて便利です。
角崎　子育てに関する制度がいろいろ整備されてきています。私の場合、現場を空けることはできませんが、制度を利用して子育てをするモデルの一つとなればいいと考えています。
村上　同僚で共働きの男性が子どもの迎えに行くと言ったら、男性上司が激怒。子どもの迎えに行く男性が増えると、男性も女性も休みやすくなると思います。

課題3　スキルアップ・更なる活躍について

籠田　キャリアパスや人材育成についてはいかがでしょう。
瀧口　女性の目線は細やかで幅広い。ギクシャクした現場であっても、うまく緩衝材になってくれます。女性と男性が協力することでうまくいくこともあるので、両軸のバランスで業界全体が良くなると思います。
村上　小学生にも現場見学に来てもらいましたが、楽しんで現場を見てくれたのは小学４年生まで。次世代に裾野を広げるという意味でも、幼稚園くらいから現場を見てもらいたいです。
根本　現場の女性で管理職になっている人はまだまだ少ない。後輩達が活躍できる業界になってもらいたいと思うので、子育てしながら管理職にもなれるというロールモデルになりたいと考えるようになりました。
角崎　小学1年生の娘が、誕生日プレゼントに「ママと同じことがしたいから、グルーガンと段ボールと水彩絵の具がほしい」と。働く姿を見てくれている応援者が身近にいると感じました。

課題4　情報発信

籠田　業界内での情報共有は進められていますが、社会に対してはどうでしょうか。
菅原　昨年の夏に建設機械の雑誌に取り上げられ、年始には、那覇空港滑走路の現場が地元のテレビ局で放映されました。放映を見た方からお声掛けいただき、嬉しく思いました。
根本　建設産業では、たくさんの女性が活躍しており、コミュニケーションも盛んです。子どもを産んでも仕事を続けられる産業なのだと知ってもらいたいですね。
瀧口　業界はまだまだ取組みが遅れている。だからこそ、伸びしろがあるのだと思います。ここに来ている女性がロールモデル。建設産業界で働きたいという女性を増やしていきたいです。
籠田　たくさんの方が女性を応援しています。これからも一歩、三歩とジャンプしていきましょう。