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2020年3月号 No.516

建設工事標準請負契約約款の改正について

③民間約款(甲・乙)、下請約款の改正内容
民間約款(甲・乙)及び下請約款については、建設工事の完成の期待を担保する必要性は公共工事と同様であるため、現行の譲渡制限特約を維持する場合と資金調達目的での譲渡については認める場合を選択して条文を使用できることとした。使用については、工事の着手にあたり必要な費用の程度や原材料費や労務費など施工に必要な経費の請負代金に占める割合などの工事の特性や受注者の信頼性、資金状況など個別の事情を踏まえ、当該工事が適正に施工され、完成させるためにどちらが適切であるかという観点から判断する必要がある。

資金調達目的の譲渡を認める場合は、「この契約の目的物に係る工事を実施するための資金調達を目的に請負代金債権を譲渡するとき(前払や部分払等を設定したものであるときは、前払や部分払等によってもなおこの契約の目的物に係る工事の施工に必要な資金が不足することを疎明したときに限る。)は、この限りでない。」こととし、譲渡した場合はその資金を当該工事の施工以外に使用してはならないこととしている。この場合に発注者は、必要があると認められるときは、受注者に対し、その資金を当該工事の施工に適正に使用していることを疎明する書類の提出などの報告を求めることができることをあわせて規定している。

(3)工事現場に設置する者及びその通知について

改正建設業法において、監理技術者を補佐する者について規定されたところ、この者を設置する場合はこの者の氏名を発注者に通知することとした。

(4)著しく短い工期の禁止について

改正建設業法において、著しく短い工期が禁止されたことを踏まえ、契約変更を行う場合においてもこの工事に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう、やむを得ない事由により工事等の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮しなければならないこととした。

なお、本条は改正建設業法の施行日に併せて、令和2年10月1日からの適用とされているが、働き方改革を早期に進める観点から、可能な限り早期に適用することが望ましい。

(5)契約不適合責任について

①民法の改正内容
今回の民法の改正において、これまで用いられていた「瑕疵」という用語が「契約の内容に適合しないものである」ことと改められた。

また、これまでは、その瑕疵が重要である場合には、その修補に過分の費用を要するときであっても、受注者が修補義務を免れないとされていたが、現代社会では、建築技術の進歩等により、高額の費用をかければ修補が可能な場面も想定されるようになり、過分な費用を要する場合であっても修補義務を免れないとすると、受注者の負担が過大となる場合が想定されることから、この規定は削除された。

さらに、引き渡された目的物が契約の内容に適合しないものであるときにおいて、発注者がその目的物で了承する代わりに、請負代金を引き渡された目的物の実際の品質に見合った金額にまで減額することを請求することを認めることとされた。

②約款の改正内容
約款の瑕疵担保責任に関する規定も民法改正の内容に沿った規定ぶりとしている。「瑕疵」については「種類又は品質について契約に適合しない」ものとされ、この場合、修補又は代替物の引渡しによる履行の追完を請求できることとし、発注者は受注者に対して相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、発注者はその不適合の程度に応じて代金の減額を請求できることとされた。

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