特集

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2018年5月号 No.498

建設現場×安全

事例紹介1
仮設足場からの墜落対策をVRで学ぶ

株式会社積木製作 安全体感VRトレーニング

建設業における死亡災害の4割以上は、墜落・転落。死亡に至らなくとも、挟まれ・巻き込まれ、転倒などの事故も多い。これらの災害を防止するため注目されているのが、VR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)の活用だ。
(株)積木製作が開発・販売した「安全体感VRトレーニング」、このVR技術を活用し、危険な場面をリアルに体感することができる。第1弾の「建設現場における仮設足場からの墜落」ではルームスケールVRを実現できるVRシステム「HTC Vive」※を採用し、CGで細部まで再現された街並みや建設現場、その中に用意された足場の上を実際に歩行する。「大鉄工業(株)様に監修いただき高所作業に潜む危険を細部にわたり再現した。現実では難しい高所からの墜落体験をすることで、安全帯の重要性が実感できるのでは」と語るのは下川敦士ディレクター。ヘッドマウントディスプレーをかけるとそこは高所作業現場。恐怖感を伴いながら実感できるため、安全体感教育として有効性が高いと導入する企業も増えている。



安全体感VRトレーニングの画面

下川氏は「ネットワーク共有機能を使えば、遠隔地からの教育指導も可能です。これにより、安全教育にかかる費用を大幅に削減された企業もあります」と話す。近々、可搬式作業台を使用した危険体験のVRトレーニングも公開する予定で、安全体感装置を連動させた「挟まれ・巻き込まれ」のコンテンツも開発中。安全教育・訓練でのVRの活用はますます広がりそうだ。
※HTC Vive 専用のヘッドセットを利用することで対角5mの空間を自由に歩き回ることが可能

「市販の簡易VRゴーグルで確認可能なスマートフォンアプリもあるので、導入前のトライアルとしても利用できます」(下川氏)

事例紹介2
IoTを活用し現場作業員を熱中症から守る

富士通株式会社


IoTビジネス推進統括部
三好克也氏

夏場、炎天下での作業が多い建設現場では熱中症の危険性が増す。富士通株式会社が2017年1月に販売開始したIoTソリューション「安全管理支援ソリューション」は、人間が感じる熱ストレスをいち早く察知して最適なタイミングで休憩を指示したり、また単独作業で起こりがちな転倒・転落事故を即座に発見することで、現場をサポートするサービスだ。IoTビジネス推進統括部 三好克也氏は「本製品は、当社独自の解析技術『ヒューマンセントリックエンジン』のノウハウに基づく68種類以上の高精度なアルゴリズムをパッケージ化し、総合ITベンダーの強みを生かして、すぐに現場で使える製品をめざしました。極力誤検知を減らすために様々な工夫が施されているのと、現場によって閾値を変更できるなど、現場の使い勝手に配慮しているのが特徴です」と語る。
手首に装着するデバイスによって体の中の血流や気圧、外気温などを読み取り、加速度センサーが転倒・落下を検知する。体調に変化があれば本人や監督者だけでなく作業者全員にアラートが送信されるため一斉に注意できる。三好氏は「お客様からは『導入したことで何も起こらなかった』という声をいただいている。それが一番の評価」と語る。さらにAI技術を使った新アルゴリズムを開発し、警備員など動きが少ない作業員への対応も開始した。作業中はつい頑張ってしまいがちだが、IoTを活用することで客観的に判断できる。これからの安全対策の有効な手段といえるだろう。

装着するデバイスは腕時計より軽い。黒は熱を貯めやすいということでカバーの色はライトグレーに。

「安全管理支援ソリューション」の仕組み

 

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