特集

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2018年5月号 No.498

建設現場×安全

寄稿1
水道工事事故防止アクションプランについて


東京都水道局建設部 技術管理課
竹本 圭介
(平成30年3月時点)

策定の経緯

東京都水道局(以下、水道局)では、震災対策強化のため管路の耐震継手化等を推進しているが、水道工事における事故防止が課題となっていた。水道局発注工事の多くは中小建設業者が受注しているが、その多くは人材面や資金面等に余裕がなく、安全活動の推進力向上が課題であった。
そこで、建設業者に対する発注者の支援を計画的に実施するため、「水道工事事故防止アクションプラン(以下、プラン)」を平成24年度に策定した。

プランの内容と取組

プランでは、取組の成果を客観的に判断できるように、平成26年度を目標年度として、重大事故発生件数(休業4日以上の死傷事故、影響の大きい物損事故)を平成23年度に比べ半減(10件以下)させる目標を設定し、以下の取組を実施した。
過去の事故データを分析したところ、13種類の頻発事故が事故全体の約3分の2を占めていたことから、頻発事故の原因と再発防止策を取りまとめた冊子を作成した。冊子は職員に配布して受注者指導に役立てるとともに、HP上にも掲載して受注者が閲覧できるようにした。また、プランの内容をわかりやすくまとめたDVD映像を作成し、局内の研修で活用するとともに、受注者にDVDを貸与して安全大会等での活用を促した。
これらの取組を実施した結果、平成26年度の事故件数は10件に減少した。

アクションプランDVD映像の一例

平成27年度からの取組

プランの取組は一定の効果を発揮したが、3年間で13件のバックホウに起因する事故が発生した。そこで、更なる工事事故防止の推進に向けて、バックホウ事故の減少を重点取組とする「水道工事事故防止アクションプラン2015(以下、プラン2015)」を策定した。
新たな取組として、バックホウ事故の防止に特化した講習会を開催し、座学の講義だけでなく、事故発生状況や防止策を実演して受講者に体験させることで、知識習得・意識向上を図った。
プラン2015の期間中(平成27から29年度)にバックホウの事故は10件発生したが、29年度は1件に減少しており、継続的な取組が事故減少につながると考えている。

建設機械事故防止講習会の様子

今後に向けて

バックホウに代表される車両系建設機械の事故減少を重点取組として継続するとともに、下請会社を含めた教育支援、監督員の指導力向上など、より一層の事故防止に取り組んでいきたい。

水道局の重大事故発生件数の推移

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