特集

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2023年12月・2024年1月 No.554

持続可能な建設業にむけて

他の産業以上に魅力ある環境の構築にむけて

谷脇:2024年4月から時間外労働の上限規制が適用となります。業界ではすでに準備をされている最中ですが、局長の想いはいかがでしょうか?

塩見:時間外労働の上限規制は、建設業界にとってまさに“黒船”です。担い手の確保や就労環境の改善といった課題は以前からありましたが、なかなか進まず滞っていたのが実態です。上限規制は厳しいと受け取られるかと思いますが、ここで頑張らなければ建設業界はいずれ他の産業に負けてしまいます。各企業においてもこれまで様々な努力や工夫を重ねてこられたと思いますが、この黒船を契機としてもう一段頑張っていただき、他の産業に負けない労働環境を作っていければと思います。

谷脇:労働環境という話題に関連して、本財団が運営を任されているCCUS(建設キャリアアップシステム)についても伺いたいと思います。加入者が130万人を超えましたが、全面的な普及までは道半ばであり、本格的な活用はこれからという状況です。CCUSの現状と今後について、局長の想いを伺えますか?

塩見:CCUSの目的は、客観的に証明される経験や能力をもとに処遇を決めることができる環境づくりだと考えます。そのためには、その情報源となるデータを集めること・制度の認知拡大や普及が第1ステージでした。今後はよりこの制度の意義を踏まえ、処遇の改善などにつなげる第2ステージへと進めるタイミングになったかと思います。蓄積してきた情報を基に、客観的なエビデンスを人事評価や労務費の支払いの根拠として活用していただけるよう、今後もっと取組の輪を広げていく必要があるかと思います。また現場管理の効率化や、社会保険加入状況の確認などにも活用できる非常に有益なシステムですので、今後とも関係の皆様と協力して普及拡大に取り組んでいきます。

谷脇:先ほどお話のあった生産性向上や、規制の合理化といった面においても、従来はできなかったことがCCUSを使えば解決の方法が見いだせるのではないかという可能性を感じています。今後とも行政、業界の皆様とともにさらなる普及と活用を促していきたいと思います。

 

持続可能な建設業を実現していくために

谷脇:最後に、建設業に携わる方や建設業界への入職を検討されている方などへのメッセージを伺えますか?

塩見:少し前は、建設業は「地図に残る仕事」と言われていましたが、今はそこに「地域の守り手」というセリフも加わり、命と暮らしを守る大事な産業という認識が広まりつつあると思います。こうした期待に応え続けていくためにも、建設業は、持続性のある産業でなければなりません。この数年来、業界の皆さまと力をあわせて、担い手の確保や働き方改革、生産性向上という大きなテーマに向かってきましたが、まだ道半ばです。この歩みをとめることなく、更なる高みを目指していただきたいと思います。行政の立場からも、魅力のある選ばれる産業を目指して必要な施策を進めていきます。今日も現場を担う現役の皆さまに、安心して働き続けられると実感いただけるように、そして、将来の担い手となることが期待される若い方々には、魅力と将来性のある産業の姿をお届けし、自己実現の場として建設業を選んでもらえるように、これからも関係者一体となって頑張ってまいります。

谷脇:大変貴重なお話を伺うことができました。本日はありがとうございました。

塩見:ありがとうございました。

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