特集

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2023年12月・2024年1月 No.554

持続可能な建設業にむけて

担い手がいかに長く働ける環境を作るか

谷脇:現在の課題への対応という点で、国土交通省の中央建設業審議会と社会資本整備審議会による基本問題小委員会で議論されてきた内容についてお聞きしたいと思います。2023年9月に中間とりまとめを策定されましたが、改めてその狙いや議論されたポイントを伺えますか?

塩見:2014年に建設業界の高齢化や人手不足の解消を目的に、公共工事品確法と建設業法・入契法が一体的に改正された「担い手3法」があり、5年後の2019年には新たな課題に対応する「新・担い手3法」が打ち出されました。当時から一貫して “担い手の確保” を大きなテーマとし、5年ごとを節目に制度を改正してきた背景があります。それらのおさらいをすると共に、新しい歴史的な節目として次なる5年を見据えた一歩を進めるタイミングとなったわけです。ちょうどその折、資材価格の高騰が顕著に現れ、それが建設業者、特に受注者側にしわ寄せされるという課題が持ち上がりました。資材価格の高騰分の価格転嫁が円滑にできない場合、ともすれば “労務費を削る” という安易な選択がなされ、結果的に現場で働いている方の処遇を切り下げるといった事態をも招きかねません。そうした危機感が業界全体にあり、将来の担い手確保にも悪影響を及ぼす可能性を考える中、どのように課題にあたるかが議論されました。それと共に、11年間を通して続けている公共工事設計労務単価の引上げをはじめ、技能者の処遇そのものについてもさらに一歩、取り組みを進めることが必要だという認識がありました。社会全体において人材不足が起こっている中、他の産業に負けない魅力ある業界をつくり、人口減少時代にふさわしい働き方を実現しなければと、一連の議論が行われた形です。全体に共通するのは、建設業界で働く方がしっかりと確保され、いかに長く働ける環境を作るかということです。

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