特集

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2023年12月・2024年1月 No.554

持続可能な建設業にむけて

従来の制度を見つめ直し規制の合理化を図る

谷脇:ありがとうございます。舵取りが難しい面もあるかと思いますが、最前線で働かれている技能者の皆さまの賃金に深く関わるテーマとして大きな期待を寄せられているところですね。続いて「3.魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上」について伺えますか?

塩見:社会全体で人口減少が進み、人材の取り合いになっている中で、建設業界のいわゆる3Kを解決していくことは依然重要です。なかでも長時間労働の是正が大きなテーマですので、適正な工期の確保や週休2日の工事の拡充などを引き続き進めねばなりません。5年前の法改正の中では工期ダンピングについて制度化しましたが、これは発注側による工期ダンピングの強要をやめさせようという考え方でした。今回は受注側が進んで短工期の見積もりを出したり、極端な短工期により工事をとるといったことの抑制も目指していきたいと思います。少ない人手で働きつつ賃金を上げるための原資を捻出するということも必要になりますから、そうした意味でも生産性向上というのは大きなテーマになります。特に生産性向上を図るうえで可能性が高いのは現場管理業務です。中小企業の方も含めて、何をどうすれば効率的になるのか、ノウハウが十分でないところもあります。今回は国側で現場を効率化する指針のようなものを作り、特に元請の業者さまを中心に、指針の内容に沿って取り組んでいただくようお願いをしていきたいと思います。また、これまで工事の質を確保する重要な役割を果たしてきた現場専任技術者については、人手不足の中でその技術者を確保できないという課題にも直面しています。ICTの進化により、様々な分野で現場に行かずとも同じような働き方ができるようになってきていますから、技術を活用することで工事の品質や安全性を確保しつつ、専任制度の合理化なども図っていくことが大切です。従来の制度を見つめ直し規制の合理化を図っていくことも、私たちの重要な仕事だと感じています。

谷脇:建設業界はまだまだアナログ的な部分が多いですが、デジタル時代にふさわしいDXという要素を制度面にも取り入れるようチャレンジしていこうということですね。非常に重要なことだと思います。

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