特集

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2022年5月 No.538

建設業界の電子商取引 CI-NETの新たな展開

元請・下請双方にメリットをもたらすCI-NET

横:さて、わが国の電子化を取り巻く現状を見ると、コロナ禍に後押しされるようにテレワークやデジタル化が大きく進んでいます。政府としても、官房副長官を中心に、中小企業等の活力向上のための関係省庁連絡会議が立ち上げられており、政府全体として取り組んでいるところです。その中でも電子受発注は、省力化や生産性向上に繋がるテーマとされています。建設業界も待ったなしの状況の中、より実効性のある普及促進策が必要だと考えています。CI-NET利用者の9割以上は下請企業ということからもわかるよう、元請企業が導入することで下請企業の利用も促されるなど、波及効果も大きいものと思われます。

山:CI-NETは、出来高報告から請求、支払いまでできるようになり、いっそうの省力化や生産性向上がもたらされる様になりました。

横:昨年11月に一般社団法人 日本建設業連合会・一般社団法人 全国建設業協会のご協力により実施したアンケート(図参照)では、電子受発注導入理由として、「省力化ができる」「印紙の費用がコストカットできる」といった声が挙がっていました。そうした魅力も含めて、CI-NETをはじめとした電子受発注の強みを今一度周知させていくことが大切だと感じます。山下さんの視点では、CI-NETのストロングポイントはどういった点だと捉えていますか?

 図 「電子受発注」の導入に関するアンケート結果

省力化や印紙税負担軽減、利便性など、電子受発注導入者からは前向きな評価が目立つ。利用業務は、注文書・請書の交付が特に多く、見積りや出来高請求などでも着実に利用


(国土交通省が実施。調査方法:WEBアンケート、回答期間:令和3年11月5日~11月28日、回答企業:一般社団法人日本建設業連合会及び一般社団法人全国建設業協会の各会員企業 1561社)

山:CI-NETには様々な強みがありますが、特に近年はコンプライアンスを意識する企業にとって特に評価され得るものになると感じています。取引の履歴が確実に残り、取引データの「見える化」により業務の停滞やボトルネックとなっている要因、注文請書の未着といった事態などを把握することができるからです。CI-NETを利用している企業であればどの企業とでも電子商取引が可能ですし、見積書データを利用した迅速な注文書データ作成や、調達状況・費用のリアルタイムでの把握など、電子データ交換ならではの効果は元請・下請の双方に大きなメリットをもたらします。日常的な書類送付の手間や注文書・注文請書などの印刷といった作業負荷の軽減、業務処理のスピードアップによる合理化・省力化と、様々な場面にゆとりが生まれるCI-NETは、いずれの企業にも貢献できるものだと考えます。

 

建設業のよりよい働き方につながる仕組みへ

横:かねてよりCI-NET普及に取り組んでいただいている山下さんならではのご意見を伺い、現状を改めて認識できたように思います。今後、CI-NETをはじめとした電子受発注の導入企業が広がるポイントはどういったところになると思われますか?

山:先程のお話のとおり、CI-NET導入は元請・下請の双方にメリットをもたらすものです。すでに1万5千社を超える専門工事業者が利用しているという事実は、これから導入を検討している元請に対しても信頼の置ける取り組みとして映ると思います。またCI-NETは内訳明細などを含めた電子商取引を行えるところが、最近盛んに宣伝されている印紙税の節減に的を絞った電子契約と異なる利点でもあります。現在は見積から契約業務までCI-NETを実施している元請もいますが、さらに契約データを活用して出来高・請求業務まで行うことで、CI-NETの良さをいっそう体感できるのではないでしょうか。そうした効果を、電子商取引説明会や勉強会などを通して多くの機会でアピールしていければと思っています。

横:はい。国土交通省としても建設業のよりよい働き方につなげていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。

山:ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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