特集

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2022年5月 No.538

建設業界の電子商取引 CI-NETの新たな展開

対 談:
CI-NET その普及と未来に向けて

新型コロナウイルス感染症の影響や、働き方改革・生産性向上といった声が高まる社会情勢において、さらなる電子受発注導入の取り組み推進が求められる建設業。その要となるCI-NETをテーマに、国土交通省 横田僚子氏と株式会社CIラボ 山下純一氏の両氏が対談。CI-NETの今、そしてこれからの在り方を見つめた。

対談者プロフィール

国土交通省
不動産建設経済局
建設市場整備課
専門工事業・建設関連事業振興室長
横田 僚子

CI-NET政策委員、技術検討WG副主査
株式会社CIラボ 代表取締役
一般社団法人
building SMART Japan 代表理事
山下 純一

 

横田 僚子 氏……(以下、横) 山下 純一 氏……(以下、山)

ゼネコン各社協同での取り組みが普及のキーに

横:コロナ禍による働き方の変容をはじめ、新担い手三法や時間外労働規制など、建設業をめぐる情勢も大きく変化しています。生産性向上の面からも電子受発注は非常に重要視されており、建設業における標準EDI(電子データ交換)として、業界の中でも普及が進んでいるCI-NETについても、いっそうの推進が求められていると言えます。山下さんにはCI-NET起ち上げから尽力いただき、ゼネコン各社をはじめとした企業への導入に向けても、力を入れて取り組んでいただいています。CI-NETの黎明期を知る山下さんから見て、現在の普及につながったポイントはどのような点だと思われますか?

山:はい。まず大きかったのは、平成3年12月21日の建設省告示2101号「建設業における電子計算機の連携利用に関する指針」を尊重してCI-NETに集まったゼネコン各社が、しっかりと業界標準を開発し、協同でEDIを始めたことだと思います。もし個々の企業がそれぞれ独自のやり方で企業間オンラインシステムを構築していれば、そうしたゼネコン各社の仕事を請ける協力業者の対応も大変なものになっていたでしょう。ゼネコン各社が共通の土台でEDIを始められたことは、非常に大きな意義があったと感じます。建設産業のサプライチェーンは固定したものではなく、プロジェクト毎に変わるものですから、どの相手とでも繋げられるよう交換回線を使って見積依頼・見積回答を行い始めました。そうした中、平成10年には国の支援を受けてインターネットに対応したCI-NETのプロトタイプが策定され、さらに平成13年にはIT書面一括法に基づく建設業法改正があり、電子契約が認められたことで普及が進んでいきました。

横:企業の皆様と一緒に標準化や普及推進を図ってきたことが、大きな力になったのですね。

山:また電子契約が認められたことで印紙が不要になったことも、専門工事業者がCI-NETを導入しやすくなった大きな理由の一つです。我々としてもCI-NET導入の検討や利用範囲の拡大を目指す企業に対する情報提供、導入・運用に関する簡易な手法の提供などを行ってきたことが普及につながっていると感じています。

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