特集

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2022年5月 No.538

建設業界の電子商取引 CI-NETの新たな展開

デジタル化が遅れている行政サービスの利便性を高めるため、令和3年9月1日にデジタル庁が発足しました。また、コロナ禍の影響下にあるなかでテレワークといった働き方の変化やリモート環境の広がりに伴い、書面、押印の廃止などが叫ばれています。

建設業においては、i-ConstructionやBIM/CIMといったICTへの取り組みが進みつつありますが、建設会社のバックオフィスの生産性向上を目的にスタートしたCI-NETも、これらICT推進を背景として導入する企業が増えつつあります。

国の施策においてもデジタル化を推進し、業界の生産性向上を図る取り組みが検討されています。本特集ではCI-NETの新たな展開として今後の目指すべき方向性やCI-NET利用企業による導入事例をご紹介します。

 

 

1.CI-NETとは?

平成3年12月21日に大臣告示(建設省告示2101号)が発出され、『建設業における電子計算機の連携利用に関する指針』を定めたことから、建設業のEDI(Electronic Data Interchange;電子データ交換)標準としてCI-NETはスタートしています。

建設産業は基幹産業であり、その生産システムにおいても、発注者、設計会社、積算事務所、施工会社、資材業者等、多くの事業者が関与しています。

EDIは電子データを企業間で受け渡しすることで業務の効率化、生産性向上を図るものですが、CI-NETでは見積書、契約書(注文書、注文請書)、出来高・請求書等の帳票データを、元請(ゼネコン)とその取引先(サブコン、資材業者)間でデータ交換を行っています。見積から契約書、更には出来高・請求まで各業務にわたりデータを利活用することで、生産性を上げることが狙いです。

電子契約そのものは紙の契約書をPDF化し、電子署名を付すことでも可能ですが、CI-NETはEDIとして電子商取引を行っていますので、EDIならではのメリットを享受できます。上流業務のデータ、例えば見積のデータから契約データを作成する、更には出来高・請求業務へのデータ活用が可能になります。また、元請のゼネコンが取引先から受け取った内訳明細データの資材単価を分析するなどの活用が図れるといった点がCI-NETの利点と考えられます。

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