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2019年3月号 No.506

しんこうTODAY 振興基金の活動報告

講演 3 女性事務員も活躍 ICT建機が変える重機オペレーターの育成


倉田工業株式会社
代表取締役 倉田 祐輔

新卒採用はもちろんですが、腕のあるオペレーターの採用は難しいものです。採用できないならば、育成すればいいと思い至りました。残土処理場を拡張したタイミングで、事務員と重機オペレーターの募集を行ったのですが、採用できたのは事務員の女性のみ。事務員として採用しましたが、ICT建機に興味をもっている様子を見て適性があるのでは…と感じ、その女性事務員を重機オペレーターにスカウトしました。小型車両系建設機械運転免許の資格を取得してもらい、自社内の残土処理場で2か月ほど実習。ときには作業がうまく進まずつまずくこともありましたが、無事に重機オペレーターとして現場デビュー。彼女を機に、弊社ではさらに2名の女性社員をICT建機のオペレーターに起用することができました。重機の操作自体は、力仕事ではありません。さらにICT建機であれば、熟練オペレーター並みの作業があっという間にできるようになります。必要なのは資格があり、重機が好きなこと。今いる社員の適性を見抜き、活躍の場を与えることができたら、人手不足の問題は軽減します。そこにうまくICTが活用できたらいいのではないかと思います。

研修参加者の声
  • 事務員からオペレーターに転身した女性の話を聞いてみたいです。また、教育スケジュールについても教えて欲しいです。
  • 建設業で生産性向上を実現するためには、ICTを使いこなすことが大切だと実感しました。
  • ICT建機を活用して生産性がすごく向上したことが分かりました。また、ICT建機を取り入れたことで、女性社員がどれくらい働きやすくなったのか、話を聞いてみたいです。
  • ICT建機の購入から、実際に使用してどうだったか等、もっと深掘りをして話を聞いてみたいと思いました。
  • 女性が働きやすい環境を整えるためには、思い切ってICT建機を導入することも大切な取り組みだと思いました。

講演 4 生きがい、やりがい、働きがいのある職場づくりとは


三承工業株式会社
代表取締役 西岡 徹人

元は超がつくほどのブラック企業。この頃会社に不足していたのは、「風土」「共有」「仕組み」でした。「風土」とは社内の雰囲気。コミュニケーションが不足し、男性中心の社内では女性の意見が通りにくい状態でした。言葉で感謝を伝えることで心の交流を目指し、「昨日のありがとう運動」を実施。また社員の良さを発見する施策で風土改善をしていきました。「共有」とは、社員間の連携不足による業務の重複などです。それによりクレームも発生していました。「LINE」を活用した情報共有、「ドリームノート」を活用してタスクと時間の管理を行い、グーグルカレンダーでスケジュールの見える化をすることで状況を打破。社員全員が当事者意識を持てるよう、理念や問題を共有したことで、みんなで動く体制ができました。最後に社員が輝ける「仕組みづくり」。女性を中心に、社内ダイバーシティを推進する「チーム夢子」を結成。チームが一丸となり、積極的に様々な企画提案をしています。例えば、子連れで出社する「カンガルー出勤」を取り入れるなど、個性を生かした働き方が可能になりました。その結果、女性比率や女性管理職が増加しています。

研修参加者の声
  • 悪い労働環境だった頃との対比を正直に語っていただき、身近に感じられる事例でした。
  • 女性の活躍状況が非常に興味深かった。
  • ブラック企業がドラスティックな改革をしたのはすごいと思いました。変わろうと思ったキッカケを聞きたいです。
  • 風土改革が会社の利益につながることが分かる事例でした。SDGs活動にも取り組んでおり、非常に分かりやすかったです。
  • トップの考えや意識が会社にもたらす影響が大きいと実感しました。

パネルディスカッション
「建設業における働き方の在り方」

パネラー:
 大矢 洋平 氏(正治組)    倉田 祐輔 氏(倉田工業)
 西岡 徹人 氏(三承工業)    東 君康 氏(東京都立総合工科高等学校)
 藤本 真也 氏(国土交通省建設市場整備推進官)
コーディネーター:
 櫻井 好美 氏(アスミル社会保険労務士事務所)

アスミル社会保険労務士事務所の櫻井氏をコーディネーターに行ったパネルディスカッション。ここからは、東京都立総合工科高等学校の東君康先生と、国土交通省建設市場整備推進官の藤本真也氏にもご登壇いただきました。未来を担う工業高校生たちの意欲傾向について、東先生は「今の生徒は自分の役割がはっきりしていると、きっちりと行動ができる。しかし、行間を読み作業と作業の間を埋めていくことが苦手。彼らの潜在能力を発揮するためにも、働き方を明確に示すことが重要」と説明した。また行政の立場から藤本氏は、「働き方改革や処遇改善など取り組むべき課題はあるが、建設投資が増加し好調な今は、チャンス。中小企業が多い建設業こそ、仕事の効率化を目指すことが求められている」と改革の必要性を述べました。採用活動に苦戦する企業が多い中、「採用を意識するのではなく、企業全体で社会貢献をしていることを女性の観点でのPRを心掛けている。そこに共感してくれるようブランディングをすることで、良い影響が見られる」という西岡氏のお話は、非常に参考になりました。


東京都立総合工科高等学校
東 君康 先生

 

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