FOCUS

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2024年2月号 No.555

楽しく学び合い、これからの社会を担うスペシャリストへ。生徒一人ひとりを支える“つながり”を軸にした教育!

仲間と楽しく成長し合える
ICTも活用した教育環境

 コミュニケーション能力を育む仕掛けや、ICTを活用した学びにも取り組む。

「私が担当する2年生の土木施工の授業ではグループ学習を取り入れ、生徒がチームとなって学び合い、教え合いながら物事を進めていくスタイルをとっています。話し合って楽しく取り組めるという点と、建設業に不可欠なコミュニケーション能力を育めるという点がメリットです。あわせて1人1台端末を活用し、Microsoft TeamsのOneNote機能を使って授業内容を生徒自身でまとめさせ、それをチェックすることで理解度や習熟度、主体性などを見取るようにしています」。

 また、新たな世代への働きかけも積極的だ。

「“進路学習会”という会を設けて中学生を招き、豊富な専門学科があることや、1年生から3年生までの学習フロー、測量士補試験をはじめとした様々な資格取得に向けた計画などを保護者の方も交えてお伝えし、就職先や進路実績などを含めて本校をアピールしています。あわせて小学生にも年2回程度、“わくわくセカンドスクール”と題してそれぞれの学科を体験する機会を設けています。例えば土木科ならドローンの操作や木工体験、測量器具やバックホウを使った体験などです。こうした取り組みを継続することで、卒業生だけでなく新たな世代ともつながりを育んでいく狙いです。土木科では以前は珍しかった女子生徒の入学も見られ、そうした生徒が快適に学べるよう環境整備も図りました。担い手の裾野も広がってきたように感じます」。

 

“希望”を胸に
社会を支えてほしい!

 民間企業で働いた後、教員となった金城先生。

「建設会社で数年経験し、土質調査の仕事にも携わりました。臨任(臨時的採用教員)の経験も長かったことから、電気・機械・建築・設備など工業の各学科に配置され、多くの専門知識を学ぶことができました。同時に、実習前には必ず使用する機器を自身で試すなど、徹底した安全への心構えも教わることができ、それらはしっかりと今の自分に結びついています。支えていただいた先輩方や周りの皆様から学んできたことを、生徒のために日々活かしていきたいです」。

 教員としてお手本にしているのは、恩師である同校の校長先生だ。

「私が高校生の頃に土木を教わったのが、現在本校の校長を務める喜屋武校長です。土木の授業はもちろんわかりやすく教えていただいていたのですが、それ以上に生徒一人ひとりに向き合って対話する姿や、土木の魅力や仕事の意義などを語ってくださる姿が印象的でした。そうした先生の姿を思い出しながら、私自身も生徒と距離を置かず接し、話しにくいことでも話せるような教員でありたいです」。

 今後に向けて、新たに取り組みたいことも盛りだくさんと話す。

「1人1台端末となったことで、ICTを活用した授業の可能性も広がりました。例えば沖縄県内で同じく土木の分野を扱っている沖縄県立美来工科高等学校とも、端末を利用した連携授業や生徒同士の交流が生まれるような取り組みなどを行えたらと思っています。また、さらに専門知識を学べる環境づくりを図っていきたいとも考え、重機の操作を体験できるVR形式の機器やシミュレーション装置などを充実させ、そうした体験を経たうえで実物を扱わせるといった仕組みもつくっていければと思います」。

 未来の担い手となる生徒には、常に“希望”を持ち続けてほしいと願っている。

「希望を持ち続けることで道が拓ける。私自身がそうだったので、生徒には常にそんな心を持ち続けてほしいです。今後、社会基盤を支え、人々の暮らしを担っていく人材として、いきいきと活躍してくれたらうれしいです!」

 


近隣の小学生を対象にした体験イベント“わくわくセカンドスクール”の様子。「私たち教員ではなく、生徒たちが案内役となって小学生に教えるような形式をとっています。実施後のアンケートでは小学生から“お兄ちゃんみたいな高校生になりたい”といったコメントも寄せられ、生徒自身もうれしく感じていましたね」

 


2023年には顧問を務める土木研究部が活躍し、高校生ものづくりコンテスト九州地区大会・測量部門で最優秀賞を受賞。「生徒たち自ら改善点を見直し、放課後を使って一生懸命に練習していたので、最優秀賞という結果は素直にうれしかったです。年間を通して頑張ってきた彼ら自身の努力の賜物だと思います」

 

海中道路(かいちゅうどうろ)

沖縄本島のうるま市にある半島と島をつなぐ、全長約5kmの海中道路。「小学生の頃、バーベキューや海水浴に訪れた際によく目にした道路です。当初は島の住民の手で建設されましたが、台風により被害を受け、戦後にようやく築くことができたものだそうです。そうした人々の努力が胸を打つと共に、土木の力を身近に感じた特別な思いのある道です」と金城先生。

 

 

沖縄県立沖縄工業高等学校

〒902-0062 沖縄県那覇市松川3丁目20番1号
WEB:http://www.okinawa-th.open.ed.jp/

 

◎本誌記事の無断転載を固く禁じます。

 

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