特集

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2021年10月 No.532

建設産業界への人材育成に向けた高校段階での取り組み

工業高校での取り組み
─先進機器や技術にも果敢に対応─

先生方が高校教育の中で力点を置かれていることや、積極的に取り組まれていることはどんなことでしょうか?

山:挨拶をはじめ、生活するうえでのルールやマナーは口酸っぱく教えています。工業高校についてはずいぶん昔のヤンチャなイメージを持たれている親世代もいるので「今の工業高校はそんなことは無い」ということをしっかりと示したいですし、生徒にも自信を持って学んでもらえる学校でありたいと考えています。また生徒に対しては、業界についてよく勉強するようにと常々諭しています。最先端の機器や技術などにも触れさせておきたいですね。

近年で言えば、ドローンやICTの活用などでしょうか。

山:はい。神奈川県では幸運にも各校にドローンを導入することができ、扱う機器なども段階的に更新していく動きがあります。また本校に限ったことですが、建設科の新設に際して新たな関係機器類を購入することとなりました。そうした最新の機器を生徒に使わせてあげられることが嬉しいですし、仕入れにあたって機種ごとの用途や性能を調べ上げ準備してきた経験は、私自身にとっても大変勉強になりました。

建設産業に用いられる機器も日進月歩の世界ですから、教える側としては多忙な中でもそうした機器の使い方などを学んでいく必要があるのですね。

山:扱う機器ごとの癖などもあり、使っていかなければ教えることができませんから。授業を終えた後など、時間を見つけては若手も含めて練習しています。

清:時代の流れやi-Constructionの視点に鑑みても、高校の段階から先進的な機器を取り入れていくことが大切ですね。しかし、しっかりと時間をとって練習しなければ、基礎や基本のところはできても応用ができず、機器のポテンシャルを十分に引き出すことができません。そうした時間の確保も我々教育現場の課題ですね。デジタル化が進み、ハイテクマシンも増えているので、自分のような古い人間には追いつくことがしんどい面も多々あります。山下先生をはじめとした新たな世代に、ぜひ頑張ってもらいたいです。

山:清水先生のようなベテランの先生方が抜け、私と同世代の者たちが引っ張っていかねばならない立場になってきています。上の世代が築いてきた教えや技術は、本当に大切なものだと感じているので、それを若手にどう伝えるか、といったこともまた大きな課題であると思っています。

建設業界を見ても、確実に世代交代の時期に入っています。戦後から引っ張ってきた方々が引退時期に入り、次の世代に代替わりするタイミングですね。私自身はそうした世代交代を、新しいチャンスでもあると考えています。若い方々がどんな世界をつくっていくのか。10年、20年経ったときにどのようになっているのか、大いに期待するところです。

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