特集

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2021年10月 No.532

建設産業界への人材育成に向けた高校段階での取り組み

建設産業への入職
─工業高校生たちが求める企業像─

大手・中小に限らず、建設産業の企業では「求人に苦労している」という声をたびたび耳にします。工業高校出身者はそうした企業から見てまさに金の卵と言えますが、求人も相当な数が来ているのではないですか?

山:様々な企業から、本当にたくさんの求人をいただいています。こちらとしても地元の企業をはじめ、熱心に人材を求める企業に応えたい気持ちはありますが、最終的には生徒自身の判断。本人の希望や意向に沿ったご縁があればと考えています。ただ最近では、生徒たちも自ら情報を集め、求人票にしっかりと目を通して休日や福利厚生などの労働条件を細かに見て比較をしています。我々の若い頃に比べて、そうしたものを見る目が養われてもいるようです。また知っている先輩が勤めていたり、保護者の方とのつながりがある企業などを就職先と決める生徒も多いです。

清:先輩と後輩のつながりというのは非常に強いですね。そうしたつながりを持たない生徒に対しては、まずは「地元で頑張るか、全国や海外まで視野を広げるか」という話をしています。本人の意向に沿ったうえで、興味のある分野に強い企業の会社説明会や現場見学会への参加を促しています。ただ、中にはそうして就職した企業を3年ほどで辞めてしまう子もいるので、もったいないと感じることも多いです。

なるほど。せっかく知識や技術を学び資格を取っても、早期に辞めてしまうのは非常にもったいないですね。なにが原因だと感じますか?

山:仕事の面白みを感じる前に「しんどい」「きつい」と心が折れてしまうようです。一つの現場を任され、段取りや職人の差配などを担うようになればきっと楽しさを感じるはずです。また同じ会社に高校のOBがいれば、「頑張っているね」と声をかけてくれたり励ましてもくれるのかな、と。そうした面でも先輩・後輩のつながりというのは大切だと感じますね。企業の方からも「なぜ続かないのかな」と相談を受けることがありますが、思うに、若手に対する面倒見の良さが大切なのではないでしょうか。頑張ったら頑張った分だけ報われるようなサポートやステップアップできる仕組みなどが、若手のモチベーションを高めてくれると思います。

育てる企業としても、今の若手のニーズに応えていかなければならないということですね。

多くの企業に求められる工業高校生

■就職内定率

令和2年3月卒の工業科卒業者の就職内定率は、昨年度より0.2ポイント上昇し、99.6%となった。ここ8年は99%以上の高水準が続いている。

※公益社団法人全国工業高等学校長協会/調査研究部 令和2年度調査結果 卒業者等に関わる状況調査より

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