特集

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2020年12・2021年1月 No.524

withコロナ時代に建設業はどう変わっていくか~新しい「物語」をつくろう~

青木: そうですね。国土交通省ではこれまで、ICTやAIなどの技術の導入や3次元データ活用によって生産性の高い魅力的な建設現場創出を目指そうという「i-Construction」の取り組みも進めてきましたが、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性についても世の中の興味関心が広がってきました。これまで取り組んできた無人化施工の技術や遠隔での仕事といったニーズが、コロナ禍の影響も手伝って「こうあるべき」から「こうやらなきゃ」という気運に変わったことは、ポジティブに捉えてよいのではないでしょうか。

佐々木: 先ほど地方創生の話がありましたが、同様にこれからの我が国の重要課題である「国土強靭化」については、これからどう進み、建設産業の役割はどうなっていくのでしょうか?

青木: 国土強靭化という課題には、近年の気候変動が大きく関係しています。台風や梅雨前線など、雨量や強風が激甚化しているのは間違いないですね。私たちがこれまで作ってきた防災の仕組みも見直しながら、しなやかで強い国土をつくっていく国土強靭化が大切になると思います。それに向けて、新しい枠組みが来年度からスタートします。政府内でもさまざまな議論がありましたが、まずは「建設産業が持続可能である」ということが大前提となっています。やはり建設産業の果たす役割というのは非常に重要だと言えますね。

緊急時の出動やインフラ強化だけでなく、流域治水を含め、「地域をつくりなおしていく」ということがたいへん重要になってきます。ある説では国民の2人に1人が、浸水や土砂災害の危険性をはらんでいる場所に住んでいるといわれています。これは一般の方々が思われている以上に多い数字だと感じています。土砂災害のレッドゾーンのような危険性をはらんだ地域であれば移転・移住といったことも出てくるかと思いますが、例えば東京であれば江戸時代などに埋め立てにより誕生したエリアなども多々あります。そうしたところには住まず、みんなが移転・移住しようというのは、やはり現実的ではないですよね。現在、東京都と国土交通省では水害に強い首都を目指した“高台まちづくり”構想を進めています。もちろん浸水が起こらないよう工夫はするのですが、万が一浸かった際にも数日間もちこたえられる街というものをつくっておくことが大事です。これもインフラ整備と同時に「街をつくりかえていく」ことが必要になってきます。これも建設産業なしでは成り立たないものだと思います。

佐々木: そうした建設産業の役割を果たしていくために、企業や業界、また経営者はどうしていくべきか、なにを変えていくべきでしょうか。あわせて、行政はどのように動いていこうとされているのでしょうか?

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