特集

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2020年11月号 No.523

技術検定制度の見直し、 工事現場の技術者に関する規制の合理化について (建設業法の改正)

建設業法の改正について

建設業における現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、限りある人材の有効活用と若者の入職促進により、将来の担い手の確保を図ることが急務となっています。このような状況を踏まえ、令和元年6月に建設業法を改正し、技術検定制度の見直しを行いました。また、工事現場の技術者に関する規制を合理化しました。

技術検定制度の見直しについては令和3年4月1日から施行され、令和3年度から新制度の下、技術検定が行われる予定です。また、工事現場の技術者に関する規制の合理化については令和2年10月1日から施行されています。

Ⅰ. 技術検定制度の見直し

今回の建設業法の改正では、技術検定制度について見直しを行いました。これまでの技術検定では、学科試験と実地試験の合格者を技士(土木施工管理技士、建築施工管理技士など)として称号を付与していましたが、今回、第一次検定と第二次検定に再編成を行い、第一次検定の合格者を技士補(今回の改正により新設)、第一次検定及び第二次検定の両方の合格者に技士の称号を付与することとしました。

現在の技術検定では、学科試験では知識、実地試験では応用能力を有するかどうかを判定していますが、令和3年度からは、第一次検定では施工技術のうち基礎となる知識及び能力、第二次検定では施工技術のうち実務経験に基づいた技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力を有するかどうかを判定することとなります。

具体的には、1級の第一次検定では、監理技術者の職務を補佐する者(今回の改正により新設:以下「監理技術者補佐」という。)として、工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識及び応用能力を有するか判定することとし、これまで学科試験で求めていた知識問題を基本に、実地試験で求めていた応用能力問題の一部を追加することとしています。なお、この1級の第一次検定を合格した者は1級技士補の称号を付与されますが、このうち、主任技術者の資格を有する者については、監理技術者補佐となることができます。また、第二次検定では、監理技術者として、工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識及び応用能力を有するか判定することとし、これまで実地試験に求めていた応用能力の問題に加え、学科試験で求めていた知識問題の一部を移行することとしています。

2級についても1級と同様の見直しを行っており、第一次検定では基礎的な知識及び能力を有するか判定、第二次検定では主任技術者として必要な知識及び応用能力を有するか判定することとしています。なお、第一次検定及び第二次検定の両方の合格に求められる技士の水準は、原則として現行の技術検定に求められる技士の水準と同程度となります。

このほか、1級の受検資格も見直しを行っており、現在は、2級に合格してから1級を受検するまでの間に実務経験の期間を原則として5年間(所定の実務経験を積んだ場合は3年間)求めていますが、令和3年度以降、2級の第二次検定を合格した者は、その後の実務経験を経ることなく、翌年度に1級の第一次検定を受検することが可能となります。これにより、早期に1級の技士補を取得することが可能となり、監理技術者補佐として若手技術者に施工体制における明確な立場を与え、早期に責任ある立場で、現場で活躍していただくことが可能となるものと考えています。

2級の技士補については、1級の技士補と異なり、工事現場の技術者としての明確な役割はありませんが、17歳以上であれば実務経験のない高校時代から受検が可能であるため、合格すれば2級の技士補の資格が付与されます。このように、2級の技士補については、建設業の担い手としての入口の資格として、就職活動にも有利となることから、若年層のモチベーションが向上し、建設業界へ入職する動機付けの強化につながるものと期待しています。

なお、現在の技術検定では、1級、2級ともに学科試験合格後、実地試験が2回不合格だった場合、再度学科試験から受検する必要が生じますが、令和3年度以降は、第一次検定を受検・合格して技士補を取得すれば、回数や期限の制限なく第二次検定を受検できることとなるため、技士取得(第二次検定合格)への受検機会の拡大にも資するものと考えています。また、令和2年度末の時点で、令和2年度以前の技術検定の学科試験に合格し、学科試験の免除を受けている者については、技士補の資格の取得はできませんが、1級、2級ともに、その免除期間内に限り、令和3年度以降の第二次検定に合格すれば、技士の資格を取得することができます。

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