特集

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2019年11月号 No.513

女性技能者の活躍を推進!

女性活躍の推進が今のように盛んに取り組まれる前から、女性技能者の採用を積極的に行っている「株式会社大平組」(茨城県水戸市)。現在では2名の女性鉄筋工が、現場の第一線で活躍しています。同社ではなぜ、女性技能者をコンスタントに採用でき、活躍できているのか?女性技能者が働きやすい環境づくりなどの取り組みについて、同社代表取締役・大平智彦さんにお話をうかがいました。

 

 女性活躍のベースは、社員全員が働きやすい環境にあり 

人材不足が深刻な課題となっている今、「女性活躍」はその緩和策のひとつです。しかし、「女性活躍」だけに躍起になっても、歯車はうまく回りません。まず会社として大切なのは、男女を問わず社員が働きやすい環境を整えること。そこで弊社は毎年年初に、モチベーション向上の指針になるものや、品質向上に関する目標などを経営スローガンとし全社員に発表しています。2019年のスローガンは「建設キャリアアップシステム」。みんなでスキルアップしていこうと伝えました。事業者登録、技能者登録ともに完了しているので、弊社の技能者はみな白およびゴールドのカードを保有しています。カードの色で客観的にスキルを示されることで、自分が頑張るべきことが明確になったようです。今後はカードの色をステップアップさせたいと、みな資格取得への意識が高まっています。2名いる女性技能者たちも「鉄筋施工1級技能士」の合格を目指し、いきいきと仕事に励んでいます。

経営スローガンは、各現場の休憩所にも掲げ、常に社員の目に触れるようにして士気を高めている

 

 女性技能者採用の秘訣は、実作業を“体験”させること 

若年層の採用活動で力を入れているのは、工業高校や水産高校で行う出前講座です。このときには、鉄筋施工の技能士検定で出題される題材を高校生に組ませています。鉄筋の仕事は力仕事が多く、男性の世界と思われがちですが、鉄筋工事の要は手先の器用さも必要な結束です。その作業を体験させると、女子生徒の方が男子生徒より上手なケースが多い。「上手だね」などと声をかけながら鉄筋工の仕事を説明すると、「私もできる!」と興味を示してくれます。

基本的には男女を特別に意識した採用活動は行っていませんが、会社PRのためにつくったDVDには少し工夫をしています。1つは、鉄筋工事とはどのような仕事なのかをわかりやすく紹介すること。私たちがつくった鉄筋は、建物の見えないところに隠れてしまいます。そこでまずは完成した建物を映像で映し、その中にどのような鉄筋が入っているのかを一連の作業の流れで示し、建物のどの部分をつくる仕事なのか理解を促しています。そしてもう1つは、先輩女性技能者が作業している映像を、できるだけ取り入れています。企業説明会などのブースでこの映像を流していると、「こんなこと、女性でもできるんですか?」と興味をもつ女子生徒も多数。女性に興味をもってもらうためにはまず、「現場の仕事って、自分にもできるんだ!」と気づいてもらうことが大切です。

工業高校や水産高校で行う出前講座では、鉄筋工の仕事の基本となる作業を体験してもらい、「自分でもできる!」という感覚を体感することに注力している

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