特集

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2019年11月号 No.513

女性技能者の活躍を推進!

 女性技能者の存在が現場にもたらす影響とは? 

現場で女性技能者に活躍してもらうために、“鉄筋工事の仕事”を改めて考えました。「鉄筋工事=鉄筋を担ぐ力仕事」というイメージが強いでしょうが、それは全体の4割程度。残り6割は、結束や鉄筋にマーキングをする割付など器用さや丁寧さが求められる作業です。重い材料を運ぶ準備などは男性がメインで行い、精度が必要な仕事は女性が担当するなど、それぞれが得意なことを活かせるといいのではないかと思いました。

実際に女性ならではの細やかな目配りが、周囲にもたらす好影響も少なくありません。たとえば「ひとつかみ運動」と称した現場の美化活動。男性のみの現場よりも、女性技能者がいる現場は常に美しく保たれています。小さなごみも見落とさない彼女たちの姿をみて、後輩男性技能者も、自然と動くようになりました。また、現場での言葉づかいも特有の男らしい荒々しさが軽減されました。仕事に対する厳しさは保ちつつ、現場の雰囲気が柔らかくなったことで、怒られ慣れていないといわれる若年層の離職も抑えることができているようです。これは女性技能者の存在がもたらした、うれしい効果だと思っています。

また、社員それぞれの得意を活かすことや現場の配置等に配慮していますが、それは決して男女を区別しているわけではありません。現場を任せている以上は、もちろん女性技能者にも厳しくしています。そのなかで自分にできる方法を模索しながら仕事を遂行していく彼女たちの姿を見て、後輩たちも「女性だから」といった意識は生まれてきません。変に意識されていない環境こそが、女性技能者がのびのびと仕事に打ち込める場なのではないかと思います。

しかし反面で、体調面の管理やハラスメント対策などには、今まで以上に心を配っています。

 

 これからの課題は、産休・育休制度の活用促進 

これから女性技能者を多く採用していくことを考えると、産休・育休制度は不可欠だと思っています。そこで数年前に就業規則の見直しをした際に、制度も整備しました。産休・育休明けはどうしても時間の制限があり、出退勤の時間がまちまちの現場にすぐに復帰するのは難しいかもしれません。その場合には、時間を区切って働くことができる工場勤務も可能です。または、技能者のスキルを活かして図面を拾う積算業務を、自宅で子育てしながら行うこともできます。もちろん本人の意思やご家族の理解があれば、現場で活躍してもらうことも。それぞれの希望や状況に合わせた働き方を見出していけると思い、女性技能者が入社するたびに話をしているのですが、残念ながら今まで取得実績はありません。1度実績ができるとそれが通例化し、産休・育休制度を経た女性技能者がどんどん増えるはずです。ぜひとも制度の活用をすすめていければと思っています。

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