特集

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2019年10月号 No.512

「新・担い手3法」と 建設産業の未来

建設産業の将来を指し示す建設キャリアアップシステム

佐々木 その建設キャリアアップシステムなのですが、私どもは運営主体として懸命に制度の主旨など、周知活動に努めていますが、地方ではまだまだ周知は不十分であり、活用が遅れている状況にあります。地道な取り組みで少しずつ広まってはいますが、行政としては今後、この建設キャリアアップシステムをどう展開されていくのでしょうか?

青木 建設キャリアアップシステムは、建設産業全体の新しい制度インフラとして、行政・関係業界を挙げて制度を育て、定着させていかなければならないと思っています。

おかげさまで、この4月から本格運用されています。そもそも狙いはなんといっても、技能者の給与を技能と経験に応じて引き上げ、若者に技能者としてのキャリアパスと処遇の見通しを示していくことです。そして、これまでの技能者の給与上昇の動きや流れを一過性のものとせず、今後も底堅く引き上げていくこと。ひいては建設産業全体の価格交渉力や競争力を高めていくという大きな目的と意義があります。すでに能力評価基準の策定や建退共との連携システムなど、具体的な取り組みが始まっています。今後さらに、加入した技能者、そして企業のメリットをより高めていく。そして、それを分かりやすくみなさんに知ってもらわなければなりません。

去る8月29日に国土交通大臣から建設業団体に対して要請をしたところですが、今後、それぞれの立場で、あるいは連携して、加入メリットを高める具体策を行政への提案も含めてぜひ検討していただきたいと思っていますし、行政もいろいろなアイデアを出していきたいと思っています。

佐々木 運営主体としても、魅力的な新しい制度インフラに確実になるだろうと感じています。行政はもちろんですが、我々も業界の方と一緒になって努力していきたいと思っています。

青木 この制度はおそらくこれまでになかった、建設工事の大変貴重なデータベースになります。そうすると、今後の大きな課題である生産性向上に大きな力となるでしょう。いわば、i-Constructionと並び、進化する建設産業のシンボルになる。そして多くの方に向けた「建設業は変わろうとしている」というメッセージにもなると思っています。

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