特集
「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案」について
建築物のライフサイクルカーボンの削減手段
前項において建築物のライフサイクルカーボンの評価手法についてはご紹介しましたが、本項では建築物のライフサイクルの各段階において具体的にどのような削減手法があるかについて、建築物のライフサイクルに沿ってご紹介します。
まず、資材製造段階では低炭素建材の活用が考えられます。例えば、通常の建材の代わりにグリーン鉄、環境配慮型コンクリート、リサイクル材を活用することなどが挙げられます。設計段階においては躯体における木材活用や既存建築物の活用といった手法が、工事段階においては、例えば近隣地域で製造された建材の採用などによる工場から建設現場までの輸送距離の削減や地域内輸送の促進などが考えられます。使用段階においては、これまでの省エネ化の取組と同様ですが、断熱性の向上、省エネ化や再エネ設備の採用といった手法があり、解体段階においては解体容易性に配慮した設計などが考えられます。
これらの脱炭素化の取組は価格や他の性能とのトレードオフとなる場合もありますが、脱炭素化に向けた努力が適切に評価される環境の構築に向けて、中間とりまとめの議論などをもとに取り組んでまいります。
各ステークホルダーの責務・役割
ライフサイクルカーボンの削減に向けては多様なステークホルダーの連携を図ることが必要ですが、そのためには各者の役割を明確化することが不可欠です。
まず、建築主の皆様には、設計者から示された設計時のライフサイクルカーボン評価結果やライフサイクルカーボンの削減方針を参照して、施工者を選定し発注するとともに、施工者に対し、建材・設備の調達に関する考え方を伝えるなど、ライフサイクルカーボンの削減方針を伝達することを期待します。
建材・設備製造事業者の皆様には、脱炭素化に取り組んだ建材・設備の開発・製造を進めるとともに、その成果が見える化され、建築生産者による選択が可能となるよう、それらの製造にあたってのCO2等排出量を原単位として整備し公開することが期待されます。ただし、多様な製品で構成される設備など原単位の作成ハードルが高いものについては、必ずしも早期の整備を求めないこととしています。
設計者の皆様には、予算、機能、デザインや安全性確保といった設計における考慮要素の一つとしてライフサイクルカーボンを捉え、設計時にライフサイクルカーボン評価を行うことによりストック活用も含めた最適な設計を検討することが期待されます。また、建築主の求めに応じて、建築主にライフサイクルカーボン評価を含めた建築計画の選択肢を示すとともに、施工・調達・使用・解体・廃棄時も含めたライフサイクルカーボンの削減方針を提示することを求めます。設計段階において、建築主と設計者の間で、目指すべき環境性能等について合意することを目指します。
最後に本稿の主な読者として想定されます施工者の皆様には、設計者や建築主から伝達されたライフサイクルカーボンの削減方針をもとに、脱炭素化に取り組んだ建材・設備の調達に努めるとともに、施工現場における脱炭素化の取組を進め、建築主の求めに応じて工事発注時や竣工時のライフサイクルカーボン評価結果を提供することを期待します。




