特集
「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案」について
改正法の概要①
ー建築物のライフサイクルカーボン評価制度ー
我が国では、現状ライフサイクルカーボン評価ルールや建材・設備のCO2等の排出量の原単位が未整備であるため、知見やデータが不足している状況にあります。そのため、例えば、ある建築物のライフサイクルカーボンが低く、環境に優しいということを言おうとしても、これらのルールや建材・設備のCO2等排出量原単位がなければ定量的に「環境への優しさ」を示すことはできませんでした。
そこで、昨年6月から今年1月にかけて「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会(建築物LCA制度検討会)」が7回開催され、中間とりまとめが公表されるとともに、ライフサイクルカーボンの削減に向けたロードマップも示されました。本検討会は今年度も開催される予定であり、制度開始に向けて詳細な検討を行っていきます。

住宅でのライフサイクルカーボン評価の実施にあたっては、住まいのアフォーダビリティの確保や、中小事業者への配慮が必要となります。こうした背景から、まずは規模の大きい非住宅建築物に対して実施を促す措置を検討しており、その内容を簡単にご紹介します。
[1]建築士の説明義務制度
建築物(環境負荷の少ないものを除く)の新築・増改築について、建築主の求めに応じて建築士が建築主への説明を行うなどの協力を努力義務とする予定です。
[2]建築主の届出制度
5,000㎡以上の事務所(オフィスビル)の新築・増改築について、着工14日前までのライフサイクルカーボン評価の実施と国への届出を義務付ける予定です。事務所は構造種別が多様であり、他の用途と共通して用いられる建材も多いため、最も効果的かつ効率的に知見を蓄積できることが期待されています。
[3]国の庁舎等における先行実施等
国が建設する庁舎等については、届出制度の対象よりも幅広い物件について算定を行っていきます。また、UR都市機構が建替えを行う賃貸住宅については先行的に試行実施を行うとともに、一定の規模以上のUR賃貸住宅の建替え事業については、ライフサイクルカーボン評価の実施を標準とするための検討が行われる予定です。
[4]優良事業者の選定・公表
ライフサイクルカーボン評価及び削減に取り組み、国等への事例・データの提供等を積極的に行っている建築主、設計者、施工者、建材・設備製造事業者等を表彰あるいは登録・公表する制度の創設など、努力した事業者が評価される仕組みの構築を検討していきます。
[5]ライフサイクルカーボン評価結果の表示措置
現状、ライフサイクルカーボン評価結果について第三者が評価する制度がないため、環境に関心の高い投資家・金融機関や建築物利用者等・購入者等に建築物の環境性能をアピールすることが難しく、市場において選択されない点が課題となっています。このため、省エネ性能やライフサイクルカーボンについて第三者が認証を行い、その結果を表示できる制度を構築する予定です。
これらの取組を通じてライフサイクルカーボン評価を一般化し、自主的な排出量削減を促すことを目的としています。その後、数年が経過した後に段階的に制度を拡充していくことも考えています。




