特集
第三次・担い手3法の施行に向けて
建設業の魅力を国内外や次世代へ
谷脇:先ほど建設業に対する社会的評価の変化についてお話がありました。このような流れの中で、給与や休暇といった面以外にも、建設業の“やりがい”を、特に若い方・中学生や小学生、そして親御さんや学校の先生などにも伝える必要があると考えます。積極的に魅力を発信していくことで、より広く社会全体に建設業の良さが伝わると思いますが、いかがでしょうか。
平田:おっしゃるとおり、処遇改善と働き方改革をしっかりとやっていくというのはもちろん、個々人が自身のキャリアや人生設計を描いていくために必要な情報を発信していくということが非常に重要だと考えています。今回の改正品確法の中でも広報活動の充実という規定が設けられています。建設業振興基金の皆様には、これまでも人材協(建設産業人材確保・育成推進協議会)を通じて情報発信や出前授業、作文コンクール表彰といった、多岐にわたる取組をしていただいています。先般行われた作文コンクールの国土交通大臣表彰作品も、建設産業のやりがいや魅力を読み手に伝えてくれる非常に素晴らしい作品でした。そうした取組の継続とともに、建設業に入ろうという方だけでなく、もっと広く社会的な理解が必要であろうと感じています。建設業は社会的に非常に意義のある仕事、国民生活上なくてはならないということ、そして非常に魅力のある仕事だということが社会に広がるように、あらゆる機会を捉えて伝えていかなければなりません。女性活躍の定着・促進に向けた新たな実行計画なども検討しており、入職促進に繋がるような取組をしっかりやっていこうと、議論を重ねている最中です。
谷脇:人材協は行政、業界団体などで構成されている協議会ですので、各方面に向けた広報活動にも適していますね。より効果的で一体的な取組に臨んでいければと思います。
平田:建設業が一体となって魅力を伝えていくことが大切ですね。他方で、「こんな取組で採用に結びついています」といきいきと語ってくださる企業もあり、勇気づけられます。訴求力のある動画をこまめに配信していたり、社長さんが先頭に立って工夫を凝らした取組を行っている企業があり、そうした企業に倣うことも大切だと感じます。就職には「この業界で働きたい」という想いと「この会社で働きたい」という想いの両方が必要ですので、PRの仕方、情報発信ツールなどには、これまで以上に工夫が大切なのだろうと思います。
谷脇:先程外国人材についてのお話もありました。2024年6月、「技能実習制度」に代わる新たな制度「育成就労制度」を新設するための関連法の改正が国会で可決・成立し、今まさに施行に向けて取り組まれているところと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
平田:育成就労制度が2027年度から施行予定ですので、そこに向けて政府全体で方針を定めた後、分野ごとの方針を設けることになっています。具体的な形はそれからになりますが、大きな方向性として今回の育成就労制度は特定技能と一体的なキャリア形成ができるような仕組みになっていますので、特定技能も視野に入れて育成就労で来日され、そのまま仕事に就いてもらいやすいような制度にしていくことが基本になるかと思います。その一方、建設業においても失踪をはじめとしたネガティブな話もあるため、そうしたことが起こらないよう、良い環境の中で仕事をしていただけるように、関係者で努力していかなければならないと思っています。
CCUSの広がりとさらなる進化への期待
谷脇:本財団が運営を任されているCCUS(建設キャリアアップシステム)についても伺いたいと思います。運用開始から5年、加入者が160万人となるなど、着実に広がりを見せているCCUSですが、まだまだこれから普及拡大に努めていくべきものであるかと思います。局長のお考えや今後のCCUSの展望を伺えますでしょうか?
平田:これまで多くの皆様の努力により、加入企業・利用者の方々を増やすことができています。就業履歴や人事評価につながる客観的なエビデンスが見られるシステムがさらに普及拡大することで、今後の処遇改善につながっていくものと感じます。また、CCUSは現場管理の効率化などにも積極的に利用していただける非常に有益なシステムです。そのメリットや利便性にも着目し、ぜひ活用していただければと思います。建退共や他の分野との連携といったことも進め、よりシステムの可能性を広げていきたいです。
谷脇:本財団としても、各業界・分野の皆様とも進めていきたいところです。国土交通大臣が認定した能力評価基準に基づき、分野ごとの能力評価実施団体がCCUS登録技能者の技能と経験について能力評価を実施する「能力評価制度」との連携強化や、CCUS登録技能者向けのスマートフォンアプリ「建キャリ」の提供を開始するなど、新たな試みにもチャレンジし、普及拡大に向けて進化を続けていきます。