特集

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2023年10月号 No.552

建設系専門高校の今を知る!

大切なのは現場で活躍するプロの声!

谷)建設業協会をはじめ企業個々でも、現場で働かれている方の声を伝える出前講座やインターンシップなどの取り組みについて、以前よりもいっそう力を入れられているように感じます。お二人から見て、生徒の心に響く取り組みというとどういったものでしょうか?

東)やはり現場で活躍するプロの方に技術を見せていただいたり、経験を語っていただくというのが、建設業の魅力向上に大きくつながる取り組みと見ています。私たち教員には、技術・技能、知識を教えるという役割がありますが、そうした業界の方々に魅力を伝えていただくためのフィールドを作っていくということも大きな仕事の一つだと考えています。例えば当校では年2回ほどタイル工事業者の方に来校していただき、タイル張りを見せていただいているのですが、その仕事の様子に生徒たちも目を見張るばかり。現場で活躍している方々には、生徒に“自分たちもやってみたい!”と感じさせ、モチベーションや経験値を上げる大きな力があります。

岡)そうですね。熊本県の建設業協会においても、高校のオープンスクール(学校説明会・体験入学)の際に建築士会の方を招き、業界の方自らの言葉で建築の仕事を語っていただく取り組みを行っていました。限られた機会の中でも、業界の魅力を当事者自らの言葉で伝えていただくことで、将来のイメージやビジョンが見えてくるのではないかと思います。

東)おっしゃるとおり、最も大切なのは“いま現場で働かれている方の最新の声”です。そうした方とのつながりを、学校側としても設けていく必要があると感じています。ここ数年、まずは中学生たちに高校へ入学してもらうという“入口”の部分に焦点があたっていましたが、高校卒業後、具体的にどのように働くのかという“出口”の部分まで示すことが、入学動機を促す重要なポイントになります。

岡)将来の姿をイメージしてもらうというのは非常に重要ですね。以前、授業の中で“建設業界の魅力を伝える”という課題に取り組んだことがありました。その中で試みたのが、放課後デイサービスの時間を利用して、高校生から小学生たちへ建設業の魅力を伝えるというイベントです。高校生による速乾性のコンクリートを使った実験などは、小学生の子どもたちも興味津々で見ていました。また保護者もいっしょにいらしているので、教員は保護者とコミュニケーションをとるなどして、大人目線の話もできました。そうした試みが、数年後の入学倍率などにも反映されました。

東)中学生や小学生などの世代に向けて、様々なアプローチをしていくことが大切ですね。建設業は魅力となる種はたくさんあるのに、まだまだアピールしきれていないところがあると感じています。言い換えれば、生徒たちや保護者を含め、魅力を伝えられる余地はまだまだあるはず。建設業界と学校現場が互いに門戸を開いて、例えば教育プログラムをいっしょに作るなど、それぞれの創造的なアイデアを叶えていけば、より魅力が浸透し、業界をさらに前へと進めていけるのではないでしょうか。

谷)都市部と地方で共通する課題、異なる課題がありますが、こうしていっしょに考えていく機会が建設業界の前進に向けた取り組みにつながっていくものと思います。本日はありがとうございました。

東・岡)ありがとうございました!

 

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