特集

特集
2022年12月・2023年1月 No.544

持続可能な建設業にむけて

未来を見つめた担い手の確保・育成

谷脇:冒頭でもお話しされていたとおり、働き手の高齢化や担い手不足の問題については、以前より看過できない状況が続いています。特に若手世代に対しては入職を促す様々な施策を取られていますが、賃金や休暇取得などの処遇面、あるいは建設業へのイメージから敬遠されている向きがあるように思います。昔のように“背中を見て学べ”という姿勢ばかりでは一人前が育ちづらい時代でもあり、今後の担い手確保に向けては建設業への興味・関心を高めたり、モチベーションの向上につながるような取り組みも重要になると感じますが、いかがでしょうか?

長橋:はい、まさにそうした取り組みこそ、未来の建設業を支える軸になると考えます。担い手確保・育成にあたっては建設産業人材確保・育成推進協議会と連携し、SNSを活用した情報発信を行っているほか、小・中・高校に向けて建設業の魅力を伝えるキャラバンなどを実施しています。また工業高校で行われる実習にも業界団体が協力し、専門性の高い体験学習の提供などを試みています。これは学生たちの興味を高めたり理解を深めたりするだけでなく、企業と学生とを結ぶきっかけにもなり、卒業生の雇用につながっているケースもあります。こうした取り組みを学校のカリキュラムの中にも組み込んでいくことができれば、よりその効果は波及するものと考えます。

谷脇:学生たちへの早期の働きかけは大切ですね。ただ一方で、高校卒業後の進路として就職を選ぶ方は以前と比べて大きく減少しているようです。調べたところ、30年前は実数で60万人ほどでしたが、近年にはその4分の1程度まで減少していました。働きかける対象を拡大していくことも大事かと考えます。また教育訓練にも大いに期待したいところです。

長橋:我々のほうでも教育訓練に関して、厚生労働省と連携しながら取り組んでいます。建設キャリアアップシステムなども訓練の段階から周知し、いずれは研修を受けた方とシステムの連携なども図っていければと思います。

谷脇:そうした取り組みができれば、入職段階から建設キャリアアップシステムの浸透が図れそうですね。人材確保・育成に向けては、各地域の建設会社の皆さまも独自に訓練を行っており、私どもとしてもしっかりと支援していきたいと思っています。

1 2 3 4 5

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら