特集

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2022年12月・2023年1月 No.544

持続可能な建設業にむけて

担い手の確保・育成や生産性向上といった課題に加え、昨今の建設資材の急激な価格変動への対応も迫られる建設業界。
今と未来を見つめ、どのような取り組みがなされていくのか、そして登録者100万人を超えた建設キャリアアップシステムの活用と展望など、国土交通省 長橋不動産・建設経済局長にお話を伺いました。

 

国土交通省 不動産・建設経済局長 長橋 和久 氏……(以下、長橋
一般財団法人 建設業振興基金 理事長 谷脇 暁 ……(以下、谷脇

 

現場で活躍する人々をいかに守り支えるか

谷脇:局長の想いや展望を伺える貴重な機会ということで、『建設業しんこう』の中でもこちらの対談企画は特にご好評をいただいています。本日はよろしくお願いいたします。

長橋:よろしくお願いいたします。

谷脇:局長は東日本大震災の影響も色濃かった2011年に入札制度企画指導室長を務められ、その後2021年7月より不動産・建設経済局長に就任されました。この10年での建設業界の変動や、局長就任から現在までを振り返って、どのような想いを感じていらっしゃいますか?

長橋:私が入札制度企画指導室長を務めた当時は、長らく公共事業費も減少し、建設投資額もそれ以前より半減するなど、非常に厳しい局面でした。マーケットが縮小するとともに、ダンピング受注の影響により現場で働く方々にもしわ寄せがいき、労務費の減少や処遇の悪化も見られ、働き手の高齢化や担い手不足も顕著になるなど、多くの課題が浮き彫りになった時期でもあります。そうした中で東日本大震災が起こったことで、復興支援も含めて様々な取り組みを行わねばならない、非常に緊迫した時局だったと記憶しています。そうした状況を踏まえると、ここ10年は事業量も投資額も安定的に推移しており、労務単価についても10年連続で上昇するなど、環境的にもずいぶん改善されてきたのではないでしょうか。ただし、現場の働き方や技能者の処遇といった面は、他の産業と比べてまだまだ不十分な点が見受けられます。特にコロナ禍以降、新しいライフスタイルに合わせた働き方という概念が叫ばれて久しいですが、なかなか休みが取れない現場などは若い方目線から見て魅力的な職場とは映りづらいでしょう。またここに来て、建設資材価格の大幅な変動も起こっており、業界の重層下請構造と相まって、現場の雇用情勢や技能者の方の処遇にも厳しい影響を与えているものと捉えています。その根本的な契約制度自体を改めて見直し、業界全体を引き上げていくことを考えなければ、今後の建設業は非常に厳しいものになると実感しているところです。

谷脇:今お話に挙がった建設資材価格の変動への対応などは、まさに喫緊の課題と言えますね。そうしたことも踏まえ、2022年8月より新たに「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」を立ち上げたと伺いました。抜本的な部分も含めた検討会とのことですが、改めてその狙いを教えていただけますか。

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