特集

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2022年10月 No.542

新しい時代の担い手を育む 工業高校の今とこれからのあり方とは

数多の「ものづくり」のスペシャリストを輩出する、建設業の根幹とも言える工業高校。今回は、IoTなどの技術の高度化、コロナ禍への対応、生徒たちの価値観の変容などに日々向き合いながら教壇に立ち、次代の担い手を育成し続ける3名の先生方をお招きし、工業高校の今、そしてこれからのあり方についてご意見を交わしていただきました。

 

東  君康 先生 ・・・・・(以下 東)
山本 茂樹 先生 ・・・・・(以下 山)
戸頃 志穂 先生 ・・・・・(以下 戸)

改めて問い直す
工業高校の魅力とは?

東)本日は工業高校の実状や今後の担い手の育成などについて、教員の立場から忌憚なく語り合い、良い意見交換ができたらと思います。地域の違いもありますが、教職歴の長い私、山本先生のような第一線で活躍する中堅世代、戸頃先生のような若手と、世代や経験によって視点も異なりますが、多様な考えにふれる機会にもなればうれしいです。

戸)よろしくお願いします。

東)建設業は人材不足が叫ばれ、多くの企業が担い手の確保に大変苦労されています。工業高校も例外ではなく、中学生に対してどのように魅力を伝え、将来、建設業へと導いていくのかが大きなテーマにもなっています。工業高校の魅力をどう感じていますか?

戸)工業高校ならではと言うと、やはり資格取得でしょうか。また社会で必要な技術や知識を高校生のうちから得られるのも大きな魅力の一つだと考えます。いざ働きだしてから必要なものが不十分だと、早期の離職にもつながってしまうので。

東)なるほど。山本先生はいかがですか?

山)戸頃先生も仰るとおり、資格取得は大きいですね。私も中学校へ学校説明に伺う際に、在学中に資格を取得することで就職後の給与にも結びつくことなどを伝えたりします。また入学後は専門授業に取り組む形となるため、“横並び”からのスタートができるということも普通科と異なる点です。中学生の時に五教科につまずいても専門教科は“横並び”で始められるので、それをきっかけに力を伸ばしていく生徒も沢山います。これは私自身が高校生の頃に感じた工業高校の魅力でもあります。勉強以外にも、社会貢献活動が多いことも特徴の一つです。今やあらゆる企業で社会貢献活動は一般的になっていますが、そうした取り組みを高校生のうちから体験できるのは貴重なことだと思います。

東)やはり卒業後の見通しとしては就職が一つの軸になっているのでしょうか?

山)そうですね。やはり工業高校を選ぶとなると、就職はついて回ることだと思います。ただ工業高校の良さは、「就職もできるし進学もできる」という点でもあると考えます。先日本校で行ったオープンスクールの際にそうした話をして、保護者の方も「進学もできるんですね!」と驚かれていました。

東)岡山工業高校は900人超の生徒が通う大規模工業高校ですが、それほどの人数が中学校から御校へと入学されるということですね。

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