特集

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2022年9月 No.541

コロナ禍で考える採用活動・離職防止の取り組み

世界を席巻した新型コロナウイルス感染症。長期に及ぶパンデミックは、国内のさまざまな企業の採用・雇用にも大きな影響を与えています。その中でもコロナ禍以前から「人手不足」が叫ばれる建設業は、建設投資は増加傾向にありながらも、新規入職者の離職率も全産業と比較して高く、常に担い手不足に直面している業界です。コロナ禍により浮き彫りとなった「人手不足」の現況と、今後の事業継続のカギともいえる採用活動・離職防止の取り組みをご紹介します。

国内の様々な業種で「人手不足」が大きな課題に

コロナ禍以前にも様々な企業で経営課題として挙げられていた人手不足ですが、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が制約されたことで、一旦は落ち着いた状況が続いていました。しかし緊急事態宣言の解除やまん延防止等重点措置の解除など、徐々に「アフターコロナ」の兆しが見える中で、再び人手不足割合も上昇しています。2022年4月時点の調査において、対象企業に従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員が「不足している」と回答した企業は45.9%をマーク。前年同月から8.7%の大幅な増加を見せるなど、新型コロナウイルスの感染拡大前に近い水準まで上昇しています。

注) 人手不足割合は各年の4月時点
正社員の人手不足割合推移[出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」より作成]

 

ひときわ「人手不足」が目立つ建設業

正社員・非正社員それぞれにおいてコロナ禍以前の水準に迫ろうとしている「人手不足割合」。特に建設業は他と比べて深刻な人手不足が続いている業種といえます。前述の調査でも、正社員の人手不足割合としては51業種の中でも3番目となる59.4%という結果が出ているほか、2021年の人手不足倒産(事業を運営するうえで必要な人材の数を確保できず倒産してしまうこと)件数を業種別で見ると、全体の3割以上を建設業が占めるなど、大きな人手不足感が如実に表れています。災害復旧工事や国土強靭化策など、国内の土木工事需要はコロナ禍においても堅調な動きを見せていますが、業界を通して人手不足は解消されておらず、事業継続にとって大きな打撃を与える要因になっています。

正社員の人手不足割合(上位10業種)[出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」より作成]

 

人手不足倒産割合[出典:株式会社帝国データバンク2021年1月26日ニュースリリース資料より作成]

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