特集

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2022年7・8月号 No.540

厚生労働省 就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース事業

Ⅳ  訓練修了生・採用企業インタビュー (建設ディレクター育成コース)

建物や施設に欠かすことのできない電気設備・衛生・給排水工事。その企画、設計から施工までを担う東邦電気産業株式会社では、いち早く建設ディレクターという職域に着目し、社内への導入を図ってきました。今回は建設ディレクター育成コースを修了し、令和3年より同社で建設ディレクターとして活躍する原由行さんと、同社代表取締役社長の佐伯祐左さんに、建設ディレクターの仕事内容や今後の抱負をうかがいました。

今回取材にご協力いただいた企業様 

東邦電気産業株式会社 京都府〉
電気・空調・給排水・工場インフラなど、あらゆる建築設備の設計・施工を専門とする東邦電気産業株式会社。
京都を本社として各地に事業拠点を展開し、豊かな社会づくりをインフラの側面から支えています。

 

誰もが活躍のチャンスあり! 建設業界の切り札になる建設ディレクター

▶︎ 訓練を受講したきっかけを教えてください。

【原】以前はシステムエンジニアとしてソフトウェア開発会社に勤めていましたが、病を発症し退職。その後リハビリにて病と上手く付き合えるようになり、社会復帰を考えていた中でふと目にしたのが建設ディレクター育成コースの募集でした。これまでの情報システムの経験を活かせるかも…という思いもあり受講したことが、建設ディレクターとなったきっかけです。建設業界は未経験でしたが、訓練を通してその役割や仕組み・制度、専門用語などから実務に関わる知識なども学ぶことができ、修了後に東邦電気産業へ入社しました。

 

▶︎ 東邦電気産業ではどのような経緯から建設ディレクターを導入されたのですか?

【佐伯】働き方の見直しが叫ばれる建設業ですが、特に現場での作業と同時に進む工事書類作成業務は多くの時間を要するため、技術者たちの長時間労働につながりやすく、頭を悩ませてきました。そうした中で書類作成の分業化を図る建設ディレクターという職域を知り、当社ではまず2名のスタッフに従来の仕事と建設ディレクターを兼務してもらう体制を導入しました。運用していく中でその有用性を知ることができたので、本格的な導入にあたり、専任の建設ディレクターとして原さんに入社していただきました。

 

▶︎ 入社後はどのような仕事をされていますか?

【原】主な仕事は施工体制に関する書類や安全書類など、法律に基づいた工事書類作成を中心とした現場のバックアップです。またそれらに関わるシステムの運用・整備なども行っており、元請のシステムと社内システムの連携を図るなど、前職のスキルを活用できる場面もあります。公共施設の施工現場の業務分析などにも関わり、さらに効率化を進めるなど、現場の支援に努めています。

【佐伯】工事書類作成は、量が多く、法に基づいた正確な記載が求められます。丁寧かつ確実でスピーディな原さんの仕事ぶりは、現場で働く技術者たちも非常に頼りにしているところです。また当社では、社員数のわりに拠点が点在しており、遠隔地で働く社員間のコミュニケーション不足が課題だったのですが、原さんに社員のデータベースを構築してもらうことで、社員各人の得意分野や人柄なども容易に把握できるようになりました。つちかってきたデジタル能力を大いに発揮し、貢献してもらっています。

▲ 工事書類作成業務を担い、ITスキルなどでオフィスから現場をバックアップ

▲ 各社員のスキルや人柄が見られる「人財データベース」も原さんの手で構築

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