働き方改革の定着に向けて

働き方改革の定着に向けて
2022年6月 No.539

労務管理

1.労働時間管理

労働時間とは「使用者の指揮命令下にある時間」のことをいい、労働時間管理とは労働者の労働日ごとの始業と終業の時刻を確認し、適正に記録することをいいます。

では、まずどこまでが労働時間を確認していきましょう。労働時間に該当するかどうかは、労働契約や就業規則の定めによって決められるのではなく、客観的にみて、労働者の行為が使用者に義務付けられたものかどうかで判断します。たとえば、就業規則は午前8時が始業で午後5時が終業時間と規定されていたとします。しかし、毎朝7時30分には出勤をし、全員で朝礼をして朝の掃除をしているとなれば、始業時間が7時30分とみなされます。再度、どこからどこまでが労働時間かを確認しましょう。

労働時間にあたる場合 労働時間にあたらない場合
 始業前、終業後の片付け
 手待ち時間
 会社が義務付けした朝礼等 
 休憩時間
 通勤時間
 現場への直行、直帰の移動時間 

 

移動時間の注意点

建設業において、現場への移動時間の取扱いについて検討が必要です。

労働時間は使用者の指揮命令下の時間をいい、現場への移動についても、会社が時間や車両を指示したのであれば労働時間として取り扱われますが、現場への直行、または事業所に車両を取りに立ち寄ったとしても、運転者、集合時刻等を当事者間で決めているのであれば、使用者の指揮命令下にはあたらない(労働時間ではない)とされています。そのため、例えば、積み込みは前日に終了させて、当日は移動のみにする、積み込み作業は当番制にするといったメリハリのある時間管理が重要です。

移動時間が労働時間に
  当たらないとされるケース 
 ❶作業現場への直行直帰が認められていること
 車両への荷積み等の作業がない
 車両内で、当日の段取り等の打ち合わせがない
 車両運転者、集合時刻についても自主的に決めている 

労働時間管理について厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として労働時間を確認し、適正に記録することとされています。もちろん手書きやエクセルでの管理でも問題ありませんが、使用者が自ら現認することとされていますので、出来る限り客観的な方法で記録することが望ましいです。最近ではたくさんの勤怠管理システムがでており、ほとんどが1ケ月は無料で試すことができますので、自社にあったシステムをみつけていきましょう。

◀︎労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf

 

2.有給休暇管理

年次有給休暇について、働き方改革では年10日以上の年次有給休暇付与者に対し、最低でも年5日を取得させなくてはいけないということが2019年4月よりスタートしました。今まで、なんとなく有給休暇管理していた会社も取得状況の確認をしなくてはなりません。そのため有給休暇の管理や取得方法も検討していく必要があります。有給休暇は原則1日単位の付与ですが、半日単位や労使協定があれば時間単位の有給休暇の取得も可能です。こうした管理はもちろんエクセル等での管理もできますが、勤怠管理システムを導入するのであれば、ほとんどのシステムが有給管理も対応が可能です。

 

3.労務管理の効率化

勤怠管理システムでは、時間管理はもちろんですが、有給管理や時間外労働の申請制についても対応が可能になっています。働き方改革で労務管理の手間は間違いなく増えています。そして業務の効率化についてはITの活用は必須です。まずは日常的なところからITの活用をし、業務の効率化を目指していきましょう。

まとめ

丸山社長
いろいろ整理できました。ITは得意じゃないけどチャレンジしてみます。
  櫻井先生
働き方改革は今までの労務管理体制を見直す絶好のチャンスです! 現場で働く方は、ITに苦手意識の方も多いようですね。まずは身近なものからスタートしていきましょう。
木村くん
社長。俺得意ですよ。
  丸山社長
おっ、今回は木村くんの出番だな。うちの会社もこれで一歩進めるよ。

 

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