FRONTIER

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2024年2月号 No.555

「大切なのは“思いやり”!」技術と知識、温かな心で工事をリードする現場の要。

宇田うだ 公彦きみひこさん
株式会社山下組
三重県出身

各現場監督と打合せや調整を行い、周りの職人たちを的確に指揮する現場の要、職長。宇田公彦さんは、創業より100年以上にわたり地域の暮らしを守ってきた株式会社山下組でその任を担っている。「私たち山下組は総合建設業。土木・建築をトータルにこなす技術と、幅広い知識を持っておく必要があります」と語るとおり、工程表と照らし合わせながら現場の作業状況を把握し、作業員の安全確認、社員同士のコミュニケーションなどを図るほか、自ら重機を操る場面もあるなど、その活躍は多岐にわたる。「入社以来、ボックスカルバート工事にはじまり、小学校の新築工事、地域を守る堤防の補修工事など、様々な事業に携わってきました。くじけそうな場面も数え切れないほどありましたが(笑)、そんなときこそ体を動かし、目の前の仕事にがむしゃらに取り組んできました。若手の頃は周りの先輩や現場監督に褒めてもらえることも、仕事へのやる気につながっていましたね。“お前なら任せられる”という言葉をかけていただいたときは、本当に嬉しかったです。職長となった今は、現場を完遂できたときの達成感がなによりの喜び。スケールの大きな現場は、終えたときの感動も格別です」。

職長として心がけていることの1つが、1日の最初に“今日はここまで進める”という明確なゴールを定めて現場に周知することだ。「先の見えない仕事と、具体的なゴールに向かって進める仕事とでは、疲れ具合が大きく異なります。同じ目標が見えることで作業も円滑に進むので、その点は特に意識しています」。そうした心構えは、宇田さんが仕事を通して気づいた本質にある。「多くの方と共に進める仕事だからこそ、大切なのは“思いやり”。若手からベテランまで様々な世代が働く中で、重いものは若手が率先して運ぶなど、一人ひとりが周りを支えようとする思いやりの心が、現場を進める大きな力になります。また建設現場は、掘削の後に鉄筋が入り、その後には型枠が入るというように、他業種との連携で進めていくもの。自分たちだけで好き放題にやって成り立つものではありません。各職種・各分野への思いやりをもった仕事こそが、良い結果につながるのではないでしょうか」。

建設業を支える新たな担い手にも、思いやりのあるエールを送る。「私も若い頃はたくさん失敗して注意を受け、たくさん恥をかいてきました。大切なのはそこで落ち込んだり諦めたりするのではなく、なぜ注意されたか、なぜ怒られたかを自分自身でしっかりと突き詰めて考えること。ここまで成長できたのは、そうしたことの積み重ねでもあります。どの職種にも言えることですが、失敗しても萎縮せずに挑んでいく人こそが大きく成長していくものです。若手の方に期待するのは100点満点をとることより、恥をかきながらも自分で考え、果敢にトライしていく姿勢。もちろん教える側の私たちも丁寧にお手本を見せ、手厚くサポートしていきます。私自身もこの世界ではまだまだ未熟者。初心を忘れず、これからも邁進していきたいです!」


株式会社山下組
代表取締役 山下 信康 氏

担い手不足が顕著な昨今、ワークライフバランス向上に取り組んできた当社においてもいっそうの働きやすさを追求し、職場環境の改善やデータのクラウド化など様々な施策を実現しています。今後も若手が安心して活躍できる場を作っていきたいと思います。建設業の使命は“地域を守る”こと。それには若手の力が不可欠です。地域と関わりを深めるとともに、より建設業の魅力を感じてもらい、地域・業界に貢献する企業で在り続けたいと考えています。

建設人材育成優良企業表彰『優秀賞』を受賞

 

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