FRONTIER

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2023年11月号 No.553

「この仕事はチームワーク!」建物づくりに欠かせない左官職人を束ねるリーダー。

大石おおいし 尚悟しょうごさん
株式会社濱﨑組
愛媛県出身

手仕事と呼ぶにふさわしい緻密な技により、壁面や床面のコンクリートを滑らかに仕上げる職人──建物の耐久性や快適性、美観までも高める左官工事は、建物づくりに欠かすことのできない仕事だ。「低層階から上層階へと仕上げていくにつれ、作業に関わる人数も増えていきます。今携わっている現場は、ちょうど低層階が仕上がったタイミング。これからさらに忙しくなりそうですが、自分たちの手で綺麗に仕上げられた瞬間は達成感も格別です」。そう話すのは、株式会社濱﨑組において施工から現場管理を担う工事長を務める大石尚悟さんだ。

登録左官基幹技能者や左官1級技能士などの資格を有し、職長として現場を指揮する大石さんだが、入社当時は全くの未経験で右も左もわからない状態だったそう。「水産高校で学んでいたのですがちょうど造船業の求人が無く、当時の担任の先生から“左官という仕事もある”と、濱﨑組のパンフレットを渡していただいたことが入社のきっかけです。壁を塗る姿やセメントを扱う仕事に興味を覚え、左官工事業の世界に入りました。タイミングが違えば全く異なる職種だったのかもと考えると、運命的な出逢いなのかなと思います(笑)」と当時を振り返る。「建設業はいわゆる職人気質の厳しい世界というイメージでしたが、入社後は周りの方もすごく温かで、丁寧に指導してくださいました。また当社の場合、建設業において一般的な徒弟制度ではなく、会社全体で新人を教え育てる独自の教育システムを設けています。あわせて松山共同高等職業訓練校和泉分校としても認可を受ける社内技能研修センターを中心に、左官に必要となる技術や知識を育む体制を取っているため、私自身もしっかりと学んだ後、現場に入っていくことができました」。

その後、工場やマンションの建設現場などに携わり、経験を重ねてきた大石さん。「印象深いのは、以前に携わった発電所の現場。真冬の時期だったので屋上のコンクリートがなかなか乾かず、仕上げに苦労しました。また現場によっては、逆に乾くのが早すぎて綺麗に仕上がらないという場面も。材料の品質や配合量はもちろん、気温や湿度、周囲の風など環境も様々なので、それぞれの現場に適した対応が求められます。そして現場を円滑に動かすためには、人員の配置を含めた段取りも重要。人の相性や若手・ベテランの組合せなどを考慮し、いかに綺麗な仕上げにつながるか、その人の成長につながるかなどを意識しています。そうした部分は、日々勉強の毎日。うまくいかなかったことは反省しつつ、“次はこうしてみよう”と、常に新鮮な気持ちで現場に入っています」。

職人というと孤高の存在のようなイメージもあるが、決してそうではないと大石さんは話す。「この仕事はチームワーク。1人では何もできません。私も社内や現場の職人の皆さんにいつも助けてもらっています。また簡単ではない分、色々な現場を経験していくほどに面白くて奥深い仕事。ぜひ若手の皆さんにも、どんどん入ってきてほしいです!」


株式会社濱﨑組
代表取締役 濱﨑 増司 氏

創業以来途切れることなく60年間続けた新卒採用と育成ですが、今回、建設人材育成優良企業表彰『優秀賞』という評価をいただき、関係各位のご尽力に感謝申し上げます。

デジタル化が急速に進む世の中でも、建築技能工の「機械には担えない仕事」「人の手」には計り知れない可能性があると考えています。人材確保や労働時間管理、女性活躍など課題は山積していますが、今後も「本物追求」のスローガンのもと次世代への技能継承を積極的に行ってまいります。

建設人材育成優良企業表彰『優秀賞』を受賞

 

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