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2021年11月 No.533

令和3年度 「作文コンクール」受賞作品 が決定!

私たちの主張 国土交通大臣賞 受賞作品

私の未来施工計画

川瀬工業株式会社
土田 里沙 さん

受賞者へインタビュー

■Q1  受賞された感想を教えてください。

令和2年度作文コンクールの締切後に当募集を知り、来年は絶対に応募すると意気込んだ日から一年後に受賞のご一報を頂きとても栄誉ある賞に感動しています。今までの出会いから進む道を繋いで下さった方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。

■Q2  建設業へ入職したきっかけを教えてください。

祖父の代から続く家業の建設業。幼い頃から誇りに思っていた両親の仕事。建設業での女性の活躍。自分に誇れる仕事、自分以外の誰かにも誇れる仕事。漠然とした一つ一つの思いが一つの直線へと繋がった事がきっかけでした。

■Q3  現在はどのようなお仕事をされていますか?

平時は総合職として工事関係の請求書や安全書類の管理及び高校生を主のリクルート業務を担当しています。弊社所在地は雪国の新潟県です。冬期限定で重機オペレーターとしてタイヤショベルに乗り除雪業務も担当しています。

■Q4  今後の目標を教えてください。

2年前から高校生の採用活動に携わり、この4月より高校を卒業した2名の社員を迎える事ができました。彼らのように建設業に魅力を感じ入職してくれるユースに今後も出会いたい。私は未来へ紡ぐ行動を模索し、入職の縁となる触れ合いを目指し建設業に貢献できたら嬉しいです。

十年前の就職活動の際、私の選択肢に建設業は入っていなかった。私はアパレル関係の会社で7年間働き、結婚と出産を経て、これから先の自分の人生を考えた時に立ち止まった。アパレルの仕事でも、やりがいを見出し昇格試験にも合格をし、将来設計は出来ていると思っていた。しかし、祖父の代から続く家業の建設業に、幼い頃から憧れがあり、祖父や父の姿に誇りを持ち尊敬をしている気持ちを私の人生に生かして働きたいと思い始めた。この思いに辿り着くまで長い時間がかかった。

幼い頃から心の中で「女の私には立ち入れない世界」と勝手に思い込んでいた経緯があったからだ。立ち止まった時に、今の建設業を見渡すと、女性がダンプの運転をしている姿が目に入ってきた。頭の中に張り付いていた私の固定観念が消えた瞬間だった。父に会社で働かせて欲しいとお願いをし、胸に秘めていた憧れの業界で働き始めた。

平時は総合職として、冬は除雪のオペレーターが私の仕事になった。オートマの解除から始まり、マニュアルを運転できるように自動車学校に通い、中型免許、大型特殊自動車の免許を取り、車両系建設機械の資格を取った。除雪の仕事は昼夜関係なく出動になり、旦那に寝ている子供をお願いし、また積雪予報のある時は大好きなお酒を飲めない。除雪に出ると、今か今かと待っていてくれる人々がいる。来るのが遅いと言わんばかりに仁王立ちをして待っている人、ありがとうと言いながら手を合わせてくれる人。建設業に従事して気付いた事は、モノ造りには人を惹きつける魅力がある。またモノ造りの喜びの中には、人に見せる力があると言う事が分かった。見てくれる人が喜んでくれる、驚いてくれる、褒めてくれる事が嬉しい。建設業には造る喜び以外にも、見てもらって喜んでもらう喜びや、「どうだ!」「凄いでしょ!」と言いたくなるような誇らしい喜びなど沢山の魅力に出会えた。この魅力を若い世代に伝えて、建設業の面白さと楽しさを知ってほしい、自分と自分以外の人に誇れる仕事に就いてほしいと思うようになった。

時期を同じくして、大手ゼネコンの協力会社として工業系高校を対象とした、現場見学会や、職人技体験会、先生方との意見交換会に参加する機会に恵まれた。その中で学生さんや保護者の方が建設業に抱いているイメージがあまり良くないと言う現実を改めて認識した。良くないイメージとして、過半数以上の方から、休みが少ない、仕事がきつそうと言う意見を貰った。その時、今は100パーセント違うと言えない現実があるけれども、近い未来に変化をもたらせる建設業であってほしいと強く思った。

そして、現在6歳と4歳の私の息子が、将来もし建設業に入職した時は、新たな土台の下で今よりも良き、恵みのある建設業で地を踏んでいてほしい。

私は、未来の建設業と今の建設業を繋げる為の工事を受注できたような気持ちで、工期に間に合わせるべく、今従事している者として未来の建設業を確かなモノとして竣工させたい。

未来建設業の施工計画には、AI技術の躍進と普及を追い風としたい。4週8休の実現には、土日、祝日は人間に代わってAIがモノ造りをしてくれる事が有効な手段と考える。だからと言って、その為にAIにプログラムを組み込むような労力は必要としない。日頃から作業に同行させる手段として、職人のヘルメットに小型の軽量カメラを搭載する。一日の業務を終えると、充電も兼ねて自動マニュアル化装置にセットする。翌日の業務開始時には、マニュアル化が完了している構図だ。これにより、4週8休の実現だけではなく、コロナ禍のように、誰も想像できない未曾有の事柄が起きた時に、柔軟に対応する事が可能となる。会社で感染者が出てしまった場合、現場が全休になる可能性も出てくる。そんな時に、工期の遅延、労務費の加算と負の要素を負わずに済むにはAIを即戦力として迎え入れる事が出来たら戦々恐々の今から少しでも脱却できる道になるのではと考えると未来は明るい。また、バイブレーター等の体に負担のかかる作業をAIが担ってくれる未来も望みたい。建設業において、就労者の高齢化と若年層の定着率の低さは喫緊の課題である。今、従事している年配の職人さん方に少しでも体を労われる為に。また、若い職人さんが身体の不調や、やっぱり建設業はキツイと思わずに働き続けられる為に。今まで無かった物や事を無いで終わらせずに、「ない」を「ある」に変えるチャレンジに挑戦し続ける事が、何も無かった所に大きな構造物を造り上げる建設業の神髄であってほしい。

最後に、自分にとって大切な人、自分以外の誰かにとって大切な人、何人もの人と竣工という一つのゴールを目指して他にはない素晴らしさを感じ続けたい。

 

建設キャリアアップシステムが照らす建設産業の未来

橋本電気工事株式会社
小林 朝幸 さん

受賞者へインタビュー

■Q1  受賞された感想を教えてください。

この度は国土交通大臣賞という身に余る賞にお選びいただき、誠にありがとうございます。信じられない思いで一杯です。この業界で私を育てていただいた、すべての関係者の方に感謝を伝えたいです。

■Q2  建設業へ入職したきっかけを教えてください。

前職は建設業とは無関係でしたが、環境を変えて働きたいと考えた時に、電気設備業に興味を持ちました。その際に現在の会社にお声をかけていただいたことが、きっかけです。

■Q3  現在はどのようなお仕事をされていますか?

品質環境部に所属し、知識と経験豊富な上司とともに、主に現場の社内検査や安全パトロール等を実施しております。またその他にも建設キャリアアップシステムの推進と管理、新人教育やISOの管理業務等、多種多様な業務に取り組んでおります。

■Q4  今後の目標を教えてください。

品質環境部として会社内及び現場の品質・技術力のさらなる向上に貢献したいと考えております。また、協力業者への建設キャリアアップシステムの推進等を通じて企業としての価値をさらに高め、良い人材を確保し育て、同業の方々の良いモデルケースとなっていけたらと考えております。

建設現場に行くと、実に様々な人びとに出会います。十代のころから職人として技を磨いてきた人、まったくの異業種から転職してきた人、外国から夢を求めてやってきた人などなど、実に個性豊かです。かくいう私も30代も後半、40に差し掛かろうかという年齢でこの業界に飛び込んできた身です。それまでの仕事内容とのギャップ、建設産業という特殊な業種に対する戸惑いなど、驚きと苦労が絶えなかったことを記憶しています。そこからすでに5~6年は経ったでしょうか。この業種、業界についていつも感じていたことがありました。それは「職人さんは自身の経験、技量に見合うだけの賃金を稼げているのだろうか」と言うことです。冒頭に記したように、建設現場には様々な人がいて、様々な経歴を持ってます。30年以上職人一筋でやってきた人間と、始めて2~3年という人間がひとくくりに「一人工」と表現されて良いのでしょうか。もちろん「会社」に所属していれば、社内の評価では差がついてしかるべきです。しかし、転職を考えた時、独立を考えた時、誰が果たしてその人の技術や経験を公平な目で評価してくれるでしょうか。また「独立できる年齢に到達するころには、体力的な問題で若いころのような仕事量がこなせない」といった声も現場でチラホラ聞こえます。体力は落ちても、その人の持つ技術や経験は若い頃以上に評価されるべきではないでしょうか。他の業種を見渡せば、経験を重ね、技術を磨いた世代(50代から60代)は目に見えた形で賃金が上昇しています。しかし、体力的な衰えが仕事量に直結する建設産業においては年齢を重ねることが決して良いことだとは捉えられておりません。これから建設業に飛び込もうと考える若い世代が、体力の減退とともに仕事量、賃金が減る諸先輩方を目の当たりにし、何を夢見て仕事に取り組めばよいのでしょうか。当社においても若い世代の入社希望者は多いとは言えません。人手不足が叫ばれるこの業界に疑問を抱かずにはおられませんでした。

しかし、そんな現状に光を当ててくれるのが「建設キャリアアップシステム」だと私は考えております。技能者個人に紐づいたキャリアアップカードは、例え転職をしたとしても、独立をしたとしても、持っている技能者の財産として残ります。カードに登録された「資格者証」はその技能者の「技術」を証明してくれますし、入場時のカードタッチは「現場入場日数」として管理され、その技能者の「経験」として数値化されます。技術と経験が形や数値となって残れば、それはその技能者の能力の客観的な評価材料となります。能力評価の材料が明確化されれば、評価する側も技能者に対する的確な判断が可能となります。これまで漠然とした評価しかされてこなかったものが、その技能者を助ける大きな財産となるわけです。適正な評価とそれに伴う賃金の向上は、建設産業そのものの評価の向上にも繋がり、そこを目指す若い世代も増加するのではないでしょうか。このシステムの確立は、今の熟練技能者の評価の向上はもちろん、今後建設産業で働きたいと考えている若年層の技能者の増加を促し、人手不足の解決にも繋がります。

おそらくこれまでも技能者は「技術」と「経験」でその評価を得てきたはずです。しかし、今まではその評価の基準があまりにも曖昧で、判断する側によって変わる為、結果的に不足している評価を仕事量によって補うことしか方法がありませんでした。その曖昧さ、流動的な評価があるいは「体力的な衰えによる仕事量の減少、それに伴う賃金の減少、若い世代の現場離れ、そして人手不足」という悪循環を作り出していたのかもしれません。「建設キャリアアップシステム」はこれまでの常識を覆した画期的なシステムです。建設業退職金共済との連携も図られ、そのシステムの充実は目を見張るものがあります。これまで建設産業に貢献してくれた諸先輩方、これからの未来を担う若い世代たちのためにも、当社でもより一層の普及を目指したいと思います。

 

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