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2021年11月 No.533

令和3年度 「作文コンクール」受賞作品 が決定!

国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会では、高校生の方と建設産業で働く方を対象とする作文コンクールを実施し、優秀な作品を表彰しています。今回は、国土交通大臣賞に選ばれた4作品をご紹介します。

 

高校生の作文コンクール 国土交通大臣賞 受賞作品

空間を創る

愛媛県立松山工業高等学校 建築科3年
山岡 愛 さん

受賞者へインタビュー

■Q1  受賞された感想を教えてください。

先生から受賞のことを聞いたとき、とても驚きました。自分の書いた文章が誰かの心を動かしたのかと思うと、とても嬉しいです。これからも建築に対しての熱を持ち続けたいと思います。

■Q2  なぜ工業高校に進学しましたか?建設系の勉強をしようとおもったきっかけ 等

幼いころ、築100年を超える古民家を改修しながら暮らしていました。足りないものは自分で作る楽しさを知りものづくりが好きになりました。好きなことを早い段階で学びたいと思った私は建築科に進学しました。

■Q3  学校ではどのような勉強をしていますか?

製図や実習、資格取得などを通して、建築の基礎を学んでいます。また、部活動は建築デザイン部に所属しJWCADを活用し建物の設計をしています。実際に建物がゼロから立ち上がっていくのをこれからは見てみたいなと感じています。

■Q4  将来の夢を教えてください。

私は、現場に出てこの建物はなぜこんな設計なのか、周りの環境との関係はどうか、職人の仕事にはどんな技や工夫があるかなど、目の前に立ち上がっていく建物について誰よりも興味を持ってさまざまなことを吸収したいです。そして、何十年後になるか分かりませんが、新しい時代を切り拓く建築家になりたいです。

私には忘れられない場所がある。高二の夏に訪れた、建築家の安藤忠雄が設計した淡路夢舞台だ。

三年前、ものづくりが好きで松山工業高校の建築科に入学した。建物がどうやって造られるのかを学ぶと、今まで何気なく目にしていた建物が新しい見え方をし始めた。また、建築デザイン部に入部し、コンペティションに挑戦する中で、アイディアを一から形にする設計の楽しさに出会った。忙しい学校生活に追われながら、一か月で一つの作品を作り上げなければいけないこともあった。しかしどんな時も妥協せず自分の持つ想いを全部作品にぶつけることの大切さを学ぶことができた。

建築漬けの毎日を送りながら、自分で考えた建物が立体的な形になったり実際に誰かに生活してもらえたりしたら、もっと面白いのだろうな、将来そんな仕事がしたいなと思うようになった。建物の設計をする建築士になるには大学の建築学科で学び、設計事務所に就職するというのが一般的な道である。しかし、私の家には大学に行かせてもらえるような余裕はない。進路に迷っているとき、母の神戸にある実家への帰省にあわせて、いくつかの有名建築物を見に連れて行ってもらえることになった。

その頃安藤忠雄の名前は知っていたが、実際に建物を見たことはなかった。だからその旅がそれほど意味のあるものになるとは思っていなかった。淡路島の海岸沿いを車で走っていると、高台の斜面に大きなコンクリートの塊のようなものが見えてきた。百段苑と呼ばれる山の斜面に沿って階段状に並ぶ百個の花壇や、一枚一枚職人の手によって床に敷き詰められた百万枚のホタテの貝殻など、そこには自然と人の手が時間をかけて一緒に創り出した大空間があった。

円形フォーラムの底から見上げた青空や、遊歩道を抜けて目の前に広がった百段苑や淡路島の緑。それまで冷たい素材だと思っていたコンクリートはむしろ温かく、淡路島の色の一つとして違和感なく溶け込んでいた。私が訪れたとき人はほとんど居なかった。しかし、設計した彼の意図や、建設に携わった人たちの息をありありと感じた。

ほかにも六甲の集合住宅や本福寺の水御堂を訪れた。建物があるだけで何も起こらないのだな、と私は思った。そこに人が足を運び、何かを感じたり、生活していく中で初めて意味を持ったりするのだなと強く感じた。安藤忠雄の世界観に魅了された私は、旅から帰り、彼の書いた本を片端から読んだ。彼は世界に名の知れた建築家だが、高校卒業後独学で一級建築士の資格を取り、戦い続けてきたらしい。私はその生き方や考え方に強く憧れた。そして、自分の夢を叶える方法は一つではなく、自分次第でいくつにでもなるのだなと悟った。

私もいつか、訪れた人の心を動かし人生までをも動かしてしまうような空間を創る建築家になりたい。自然と共生し、時を重ね、多くの人に愛され続けるような建物をこの手で形にしたい。

 

笑顔のために

山梨県立甲府工業高等学校 土木科1年
小泉 颯葵 さん

受賞者へインタビュー

■Q1  受賞された感想を教えてください。

国土交通大臣賞という素晴らしい賞をいただくこととなり、とてもうれしく思います。正直、大臣賞を手にするなど思ってもみなかったことなので、まだ実感が湧きません。これを機にたくさんの方に読んでいただき、私の思いが伝わるとありがたいです。

■Q2  なぜ工業高校に進学しましたか?建設系の勉強をしようとおもったきっかけ 等

将来、人の役に立てる仕事に就きたいと思っており、日常生活に直結するライフラインのことが頭に浮かびました。土木系なら私の仕事が多くの人の役に立つ、そう考えたことがきっかけです。これからもっと勉強に力を入れていきたいです。

■Q3  学校ではどのような勉強をしていますか?

専門科目は測量や力学などに取り組んでいますが、初めて勉強することが多いのでとても大変ですが、友達と新たなことにチャレンジしていくことはとても楽しいです。もっともっと勉強して将来に生かしていきたいです。

■Q4  将来の夢を教えてください。

今はまだぼんやりしていますが、いずれは多くの誰かの笑顔と安心のために貢献できる人になりたいです。そのためにも甲府工業高校でたくさんのことを学んでいきます。高校生活は始まったばかりなので、学習も部活動も仲間たちとたくさんのことを吸収して成長していきたいです。

私が思う建設産業の魅力は、たくさんの人を笑顔にできるところだと、私は思います。

私は幼いころに自宅を建て替えたことがあります。その時は、どんな家になるかととても楽しみでした。建設途中に現場を見に行くと「こんな感じで作るんだ」と心が躍り、見ていてとても面白かった記憶が残っています。そして家が完成するとまた感激しました。それまで住んでいた家がなくなってしまうのは少し悲しかったけれど、それ以上に、これからの生活が楽しみでした。現在もこの家に帰ると幸せを感じるし、家族みんなで笑顔いっぱい暮らしています。これが私が思う建設産業の魅力だと思いました。

高校に入学してから土木科で学び、建設産業が社会を支えている重要な業界であると知りました。日本は、自然災害がとても多い国です。台風や地震、噴火などにいつ何時襲われるかわかりません。この自然災害が多い中、私たちが安全に暮らしていくには、建設産業に関わる皆さんが汗を流して建設してくださったからなのです。道路や橋、トンネルなど生活に欠かせないライフラインは日ごろから社会の人々の役に立ちます。社会貢献度が高いので、誇りが高くやりがいのある仕事だと思っています。しかし、そのような建設産業を担っている技術者の方々の高齢化や人手不足が進んでいると耳にしました。なおさら、私たちのような土木を学んでいる若い人たちが責任をもって背負っていくことが大切なのだと感じています。

また、アジア諸国ではインフラ整備などの需要がまだまだ見込まれ、グローバルな視点でも魅力が大きいと考えます。発展途上国では、インフラ整備ができておらず、経済的にも不安定です。インフラの未整備によって企業の生産性は約40%損失するといわれています。インフラがきちんと整備されることによって生活の基盤を整え、生活水準を高め、経済成長を押し上げる効果を狙って様々な国が成長していくことを願っています。

これから世界が良くなるにはどこに行っても「質の高いインフラ」を目指すべきだと思います。誰もが利用しやすく、耐久性があり、安全・安心で環境にも配慮がなされている。そのような理想を掲げて、将来仕事に打ち込んでいきたいと考えています。

今、私ができることといえば、高校でしっかりと学んで、私自身が笑顔で建設産業で仕事ができるような準備をしておくことです。この笑顔を地域から日本に、そして世界の人にも届けられるようにして小さな輪が大きな連鎖となって世界がより良くなっていってほしいです。これから辛いことや困難なことがあると思いますが、そんな時は今同じ志を持つクラスのみんなで助け合っていきたいです。三年間学んだことを将来生かせられるように日々努力していきたいと思います。

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