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2020年11月号 No.523

しんこうTODAY:令和2年度「作文コンクール」受賞作品が決定!

 

令和2年度「作文コンクール」受賞作品が決定!

国土交通省と建設業人材確保・育成推進協議会では、建設産業に従事する方を対象とした作文コンクール「私たちの主張」と、全国の高等学校の建築学科、土木学科等で学ぶ生徒を対象とした「高校生の作文コンクール」を主催し、優秀な作品を表彰しています。今回は、数多くの中から国土交通大臣賞に選ばれた3作品をご紹介します。

 

私たちの主張 国土交通大臣賞 受賞作品

未来への架け橋として

米盛建設株式会社
Nguyen Mai Linh さん

受賞者へインタビュー

■Q1  受賞された感想を教えてください。

正直なところ、今回私のような未熟な者が、大臣賞を受けるなど、まったく意外なことでした。このような栄誉は自分に縁のないものと思ってましたので、受賞の通知を受けて、唯々驚いています。うれしい半面、見えない運に助けられた部分が大きいと感じ、逆に恥ずかしさを覚えます。

■Q2  建設業へ入職したきっかけを教えてください。

私は大学2年生の時に日本と縁があって、留学の形で2015年3月に来日しましたが、日本の生活が好きになったので、日本の短大に進学し、日本の企業に就職することを決めました。建設業には、ベトナム人実習生がいるため、私のような通訳が必要とされていて、ありがたかったです。

■Q3  現在はどのようなお仕事をされていますか?

現在、実習生を中心とした外国人材の面倒をみることに加え、高度外国人材の採用などの国際業務の仕事をしています。

■Q4  今後の目標を教えてください。

建設業をはじめ、日本の企業と外国人材の間の「頑丈な」架け橋になりたいと思っていますので、これからも人との絆を大切にし、新しい出会いに期待して、会社に貢献できるよう精進して参ります。

私はベトナム人のリンです。日本に来てから六年目、就職して二年目を迎えました。

かつて私は、ハノイの国立大学を目指し、勉強に励んでいましたが、志望校には入れず、私立大学に入学しました。希望の大学に入れなかったことで、何か胸の中にモヤモヤした感じを抱きながら、自分と向き合う一年を過ごしていました。二年生の時に、学校の掲示板で「日本への留学生募集」の張り紙を見つけました。これだ! 不安でしたが、選ばれたときには、とてもワクワクしました。日本のことは多少見聞きしたことはありましたが、選考後、日本のことを調べれば調べるほど、その気持ちは高まっていきました。

2015年3月、鹿児島県の日本語学校で留学を開始しました。日本に入国したときは、日本語はほとんど話せませんでした。でも、二年間で必死に勉強して、日本語能力検定N2に合格することができました。私は、三姉妹の長女です。お喋り姉妹だったのも、役に立ったような気がします。

留学期間の二年が終わる頃、本来なら、そこでハノイの大学に復学するところですが、私は大学に断りを入れて、日本の大学への進学、そして日本の企業に就職しようと決めました。それは、日本での生活が私に非常に馴染んだからで、一生日本に住みたいと考えたからです。そのためには、四年制大学か短大卒の資格がないと日本で就職することはできません。そこで私の選択した大学は、鹿児島県立短期大学でした。不安で一杯でしたが、合格することができました。合格できた事、その自信が私を強くしたと今でも思っています。また、学校の友達からも「リンさんは本当にお喋りだね」と言われるくらいに、日本語が上達した時期でもありました。

大学生活の二年目の夏から、就職活動を開始しましたが、これがやはり、想像以上に難しいものでした。

私は、英文学を専攻していましたが、就職の時期になって初めて、学業の専攻と、就職先の専門性が合わないと、日本での就労ビザがおりないことを知りました。

色んな会社に断られ、途方に暮れている時に、知人を通じて今の建設会社から誘いを受けた時には、心の中で小躍りしました。

今の会社での私の所属は、総務部の国際業務室です。母語を活かせる通訳として入社できました。主な仕事は、二十名を超えるベトナム人技能実習生たちと日本人社員の方々との架け橋役です。必要に応じ、現場や検定会場に出向いて通訳します。実習生たちの日本語も日々上達していますが、私が教えることで、更に上手くなっていくのを見るのが喜びです。

普段、私は彼ら実習生たちを世代も同じ「いとこ」だと思っています。無論、短大時代の二年間、私の周りに母国の仲間はいません。お陰で、日本での生活にも慣れたのですが、どこか寂しくもありました。それが入社した途端、同郷の仲間が一挙に二十名も増えたのです。嬉しくてなりません。家族とは言えないまでも、私の大切な心の支えなのです。

私は、いとこたちの生活のサポートも楽しんでいます。荷物の送り方、大切な故郷への送金方法等を教えながら、異国での戸惑いを取り除いてあげます。

国際業務室の仕事には、高度外国人材の採用の仕事もあります。例えば、鹿児島の留学生の就職説明会に出向きます。昨年は、ベトナムのハノイとホーチミンの大学で行われた、ジョブフェアにも参加しました。そこから色んな縁が繋がり、今年四月には、三人のベトナム人エンジニアを当社に導けたことが、私の秘めた自慢です。

私の会社は、国籍を問わず、外国人の採用をしていますので、メールで国外より英文のエントリーシートも届きます。私が習得してきた英語の強みを活かせる場面です。

将来、日本の建設業には、私たちのような外国人の労働力が不可欠だと思っています。その架け橋役になれたことが、私の誇りです。

当初、建設業に入って不安もありましたが、今の私には大きな夢があります。それは、日本国籍を取得することです。結婚とかは関係ありません。私は、仕事を通じて実績を積み、帰化のための色んな条件を満たして、日本人になりたいのです。

会社の仕事以外でも、入社以来、鹿児島県や建設業協会のテレビ広報にも協力させていただきました。また、福岡で行われた、国の出先機関のシンポジウムでも発表の機会をいただきました。どれもテーマは、日本で活躍する外国人というものです。外国人を代表して発言させていただいた事は、私の勲章です。

今後も、建設業で増えていく外国人の架け橋として活躍できればと思っています。

そして、いつの日かこう言います。「私は日本人の凛です」。

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