FOCUS

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2021年12月・2022年1月 No.534

教員歴2年目の“新米先生”、母校に帰る!目指すは、生徒の力となれる恩師のような教員

授業の学習効率を向上させ建設業の面白さを伝えたい

現在、戸頃先生が主に受け持っているのは、1年生の基礎力学と3年生の土木施工。どちらも、建設業での仕事に直結する大事な科目だ。「建設業での仕事は難しいことも多くて大変そう」と、業界に対する先入観を持っている生徒も少なくないため、基礎科目への興味を引き出す取り組みは欠かせないという。

「授業では自作の穴埋め形式のプリントを活用するなど、板書を取ることよりも話を聞くことに重点を置いています。また授業中に小テストを行っていますが、これはGoogleフォームを活用しています。スマートフォンやタブレットで解答していくので、生徒たちは集中して取り組みやすいようです。スマートフォンが手放せない今の時代らしいですよね」

Googleフォームを使えばリアルタイムで解答状況を見ることもできるし、教員が採点をしなくても即座にどの問題をどのくらいの生徒が間違えたのかも把握できる。授業の最後の時間を活用して正答率が低かった問題から解説をしていけば、生徒の苦手をリアルタイムで潰すことができ、学習効率が向上する。

「できないところだけ要所を絞って潰していけば『ここがダメだったから最後までたどりつけなかったのか』と学習し、次の機会にはそれを踏まえてやってくれます。解説までの時間が長引けば長引くほど、『小テストで間違えたけど、まぁいいや』となってしまいます。それでは身につくものも身につかないので、小テストをやってすぐに『残りの15分で正答率が悪かったところを解説して、今日は終わるよ』というのを徹底しています」

建設工学科1年A組の生徒たち。男女の垣根なくひたむきに授業に取り組み、
本格的な実習を通して日々成長を続けている(右は測量実習より)

コロナ禍の影響で薄くなった生徒の積極性を取り戻せ!

母校で教壇に立っていて戸頃先生が思うことは、自分が学生だった頃よりも生徒の積極性が希薄になっているということだ。

「コロナ禍、友だちと自由に遊べなかった影響もあるのだと思いますが、1年生は特にコミュニケーションの幅が狭いように感じます。しかし、小さなコミュニティだけのコミュニケーションしかできなければ、社会に出て働くことは難しい。積極的にいろんな人と関係性を築けるように、自信をつけてほしいなと思います。そのためにも、どんなことでもいいから他の人には負けないものをつくって、発信していってほしい。誰にも負けないものができれば、それが自信につながりますからね」

少しずつでも自信をつけていけるように、授業中には人前で話す練習の機会もつくっている。例えば計算問題の解答を黒板に書かせ、自分なりに説明をさせる。話すことに慣れていない生徒は躓いてしまうこともあるが、そういうときには「ここはこうだからだよね」「じゃあこれだとどうなる」などと助け船をだしながら手を差し伸べている。そうして積み重ねた自信と積極性をもって社会に羽ばたいてほしいと、生徒への想いを熱く語ってくれた。

地域の企業にご協力いただき現場見学も実施。
座学だけでは学べない現場を、生徒たちに体験してもらえる貴重な機会だ

 

竜神大吊橋

“茨城百景”のひとつにも名を連ねる「竜神大吊橋」(常陸太田市)。竜にまつわる伝説をもつ竜神峡の壮大な景色の中で存在感を放つこの吊橋は、橋長375m。これは歩行者専用の吊橋として、国内屈指の長さです。自然の偉大さを味わえる仕掛けも見ものです。

 

 

茨城県立下館工業高等学校

〒308-0847 茨城県筑西市玉戸1336-111
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