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2020年4月号 No.517

学びが社会でどう役立つのか…? 新聞記事から 土木を読み解く「新聞学習」

岐阜県関市で唯一の実業高校である関市立関商工高等学校は、創立70年余りの伝統校。創造性豊かな建設技術者・設計者の育成を目指す建設工学科では、家づくり・まちづくりの基礎・基本を徹底的に学びます。その一環として、新聞を活用した「新聞学習(NIE)」を導入。中日新聞社主催の「新聞切り抜きコンクール」に参加するなど、その取り組みについて、建設工学科の浅野伸保先生に伺いました。

工業科における新聞学習は学びと社会との接点づくり

進路では約7割を就職が占める同校工学科。建設工学科のほとんどが建設業に就くため、「現場のプロの声を聞き、勤労観や職業観を学ぶ機会を大切にしたい」という浅野先生。そのため同校では、関市危機管理課とともにHUG訓練(避難所運営ゲーム)を行ったり、岐阜県瓦葺組合青年部を招いた瓦葺き体験を実施したり、地域の団体や企業との交流から様々なことを学ぶことに積極的だ。

一方で、座学の学びは社会とのつながりを見出すことが難しい。
「工業高校だけではありませんが、学校で学ぶことが今後どのように役立つのか、またどのような点で社会とつながっていくのかを、生徒に気づかせることはとても大切なことです。そのためにも社会の情報を常に生徒と共有し、一緒に考えながら授業を進めていくことが必要だと思っています」

そこで浅野先生が数年前から取り組んでいるのが、「新聞学習(NIE)」だ。
「交通、インバウンド、まちづくり、防災、バリアフリーなどの新聞記事を、単元の導入やまとめに活用しています。地元の事例を紹介することが多いですが、例えば今、東海地区の新聞では、連日リニアモーターカーの記事が掲載されています。交通や鉄道を学ぶ上では、この話題を外すわけにはいきません。リニアモーターカーが通ることで、連動して名古屋駅の再開発がされたり、駅ができる場所ではまちづくりが進んだり。プラスの情報ばかりではありませんが、新聞を読み解くことで土木構造物が社会でどのような役割を果たしているのかを知ることができます。また、情報やデータは更新されるものです。タイムリーな社会の情報を常に生徒と共有し、『今の状況に必要なインフラ整備とは?』など学んでいることと社会を関連付けた授業を大切にしたいと思います。こうして社会の問題や課題を用い結び付けることは、学ぶことの意義を示すひとつの方法になると考えています」

「新聞切り抜きコンクール」に出品した作品とともに写る生徒たち。内容はもちろん、見やすさなどを考慮して主題やテーマを大きく配置するなど、新聞記事を“再編集”してつくられている

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