FOCUS

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2020年4月号 No.517

学びが社会でどう役立つのか…? 新聞記事から 土木を読み解く「新聞学習」

優秀作品の輩出も!「新聞切り抜きコンクール」

新聞学習は、学年ごとに内容が異なる。1年生は新聞記事をみて感想を言ったり書いたりすることから始める。2年生では模造紙に切り抜きを貼り付け、疑問や意見を書き込みながら生徒同士でディスカッション。3年生では、中日新聞岐阜県版の協力を得て「新聞カフェin関商工」を実施。教員と担当新聞記者とでテーマを決めて記事を厳選し、生徒はその記事に対する考えを模造紙にまとめて意見交換をする。
「3年生の6~9月の間に開催時期を定めて、キャリア教育・コミュニケーションスキルアップの一環として行っています。防災のテーマでは、新聞記者が取材で集めたよりリアルな話を聞くことができ、深い学びになりました」

また11月からは、新聞学習の集大成として、中日新聞が主催する「新聞切り抜きコンクール」に出品する作品を作成する。
「テーマに沿った記事を模造紙にまとめた作品を、2か月ほどの時間をかけてつくります。中部9県の小中高を対象にしたコンクールですが、工業科から出品は当校くらい。今年で5年目の取り組みになりますが、過去には、防災・まちづくりをテーマにした新聞切り抜き作品で優秀作品として選ばれたことも!」

常に生徒が楽しく、モチベーションを保ちながら学べる環境づくりに注力する浅野先生が、“ゴールを示す”ことと同時に大切にしているのが“小さな成功体験”の積み重ねだ。
「当校の生徒は、中学校ではあまり学級委員やリーダーを経験していないタイプが多い。関商工にきて初めて役割をもらい、全うしながらすこしずつ自信をつけていきます。『よくやったね』『ありがとう』と声がけをすることで、小さな成功体験を積み上げることを、学校も私も大切にしています」

そうした経験から自己肯定感を養い、うまくいかないときがあっても次に向かう「たくましい力」を身につけてほしいというのが、浅野先生が生徒に想うことだ。

 

取材時は、3年間の学びの成果を発表する「課題研究発表会」に向けた、準備の最終段階。
どのように伝えれば分かりやすいかなど、意見が飛び交っていた

 

生徒の“主体性”を育むために教員が示したい研鑽する姿勢

生徒には、「たくましい力」とともに、課題に直面したときには解決するための考えや手段を身につけ、“主体性”をもった人材に育ってほしいといいます。
「“自主性”と“主体性”という言葉はよく似ています。私が考える“自主性”とは、他人が設定した課題で行動すること。一方で、“主体性”とは自ら課題を設定し、その課題解決を実践することです。自分が何に取り組めばキャリアが形成され、人生が豊かになるかを考えられるようになってほしいと思います。そこに至るまで、生徒からは様々なリクエストがあるでしょう。教員である我々は、それに応えるための選択肢や回答をたくさんインプットしている必要がある。そのためにも、私も生徒とともに研鑽する姿勢を大切にしていきたいと思っています」

生徒のためにも学びの歩みを止めることはできないという浅野先生。40代にむけて防災や地球環境をテーマに、生徒と一緒に人々の役に立つような取り組みや研究をしたいと抱負を語る。

金華山・岐阜城・長良川一体の景観

戦国時代の岐阜の歴史や、清流・長良川を中心とした地理・地形に触れ、土木を志した浅野先生。
昔のまちなみや堤防が残り、ユニークな水門も。長良川陸閘は、地域の防災を学ぶ重要な土木建造物。

 

 

 

関市立関商工高等学校

〒501-3938 岐阜県関市桐ヶ丘一丁目1番地
WEB:http://kou.oita-ed.jp/oitakougyou/

 

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