FOCUS

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2019年9月号 No.511

目指せ!工業高校における防災教育のリーダー校 成果を発信することが、生徒の真の学びに

新潟県ほぼ中央に位置する新潟県立新潟県央工業高等学校。近くには信濃川や五十嵐川などが流れています。平成16年7月13日、新潟・福島を襲った大豪雨が近隣河川の堤防を崩壊し、校舎1階を浸水する被害にあいました。この経験から平成25年、都市工学コースを「都市防災コース」に改編。他に先駆け防災教育を導入した同コースで、現在学科主任を務める大倉守正先生が、防災教育を通し生徒に学んでほしいことを語ります。

地域と連携した防災教育で生徒の積極性を育む

明治44年、郡立三条商工学校として創立した同校。平成16年の県立燕工業高等学校との統合を経て、100年余りの歴史を刻む中で県央地域の産業に貢献する人材を多く輩出しています。水害被災の経験を教訓とした防災教育の中で特筆すべきは、他校や地元建設業協会・企業、地域住民と連携した活動です。たとえば主催で行った「全国高校生防災サミット2017」では、全国で防災教育を実施している学校を招待し、学習活動内容の発表をはじめさまざまな情報を交換。また、「7.13水害メモリアルDay」や「防災キャンプ」などの校外活動に積極的に参加。小・中学生を含む地域住民へ防災意識の啓発活動を行いながら、生徒たちは授業や実習で学んだことの理解を深めています。

文武両道を実践する「新潟県央工業高等学校」。ものづくり、資格取得、部活動に積極的に取り組み、過去2回、「新潟県高等学校年間スポーツ最優秀校」を受賞

同校で開催された「全国高校生防災サミット2017」。開会式では、県外から参加した生徒の自己紹介も行い交流を促す

ワークショップに備え、気象庁職員からの説明を真剣に聞く

■ ■ 先生が目指す土木・防災教育について想いをおきかせください。

生徒たちが学んできた成果を発信する場を作ることが、本当の学びにつながると考えています。たとえば小・中学校での出前授業では、本校の生徒が先生役として、自分たちが学んできたことを小・中学生に教えています。教えるためには、自分がしっかりと分かっている必要がある。だからこそ、授業で学ぶ以上に理解が進むのだと思います。また、言葉にして発することで、「自分たちの自信」にもつながるようです。そういった経験を経た生徒たちの姿からは、成長がみてとれます。一般に工業高校での学びは「つくること」に重点をおきがちですが、つくったものをPRする、身につけたことを発信することの大切さを、彼らの姿から気づかされます。また、生徒たちが主体となり学外に向けた発信を持続していくことが、都市防災や本校のPRにつながります。地域や防災教育に取り組む学校と連携した活動を積極的に進めることで、防災教育の大切さが理解されていくことになると思います。

昨年3年生が課題研究で作成した「立体ハザードマップ」を見ながら、近辺の地形を確認

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