FOCUS
「自分でやり遂げた」という達成感が未来を拓く! 生徒に寄り添い成長を後押しする、伴走型の建築指導。
どれだけ忙しくとも
生徒のことには時間をかける
3年生の担任と進路指導も担う吉川先生。近年は、給与や福利厚生の面から県外への就職を選ぶ生徒が増えていると話す。
「大手ハウスメーカーやゼネコンなど、初任給が非常に高く、住居や食事のサポートが手厚い企業からの求人が増えています。さらに入社後の1年間は、給与をもらいながら専門学校でじっくり学ばせてくださる企業もあり、そうした待遇の良さに惹かれる生徒は多いですね。地元で建設業を営むご家庭の生徒でも、まずは県外の大手で経験を積んでから戻ってくるように言われるケースも少なくありません」。
就職や進学を有利に進めるため、資格取得へのサポートも手厚い同校。
「3年生では2級建築施工管理技士(第一次検定)の資格取得に力を入れています。また、建築CAD検定にもほとんどの生徒が挑戦しています。過去問題を繰り返し解く勉強が中心ですが、生徒たちも高いモチベーションで臨んでいます。そうした資格取得に向けた過程そのものが、生徒が“自分でやり遂げた”という自信を高めることにつながっていると感じます」。
生徒の想いに負けじと、吉川先生が情熱を傾けているのが日々の教材研究だ。
「過去に授業で用いた資料やデータがあっても、同じものをそのまま使うことはしません。必ず内容を見直して新しい情報や写真を追加するなど、毎年バージョンアップさせています。とにかくいい授業がしたい、そして、どれだけ忙しくとも生徒に関わることには時間をかけたいというのが、私自身が大切にしている想いです」。
自分を信じて
果敢に挑んでほしい!
部活動では、自身も高校時代から打ち込んできたボクシング部の顧問を務める。教え子は県高校総体で見事優勝し、インターハイ出場を決めた。
「優勝した選手はもともと実力のある生徒でしたが、彼をさらに強くするためには、練習相手となる周りの選手の力も引き上げる必要がありました。特定の選手に偏るのではなく、全体のレベルアップを図る指導が、結果的に生徒一人ひとりに良い結果をもたらしてくれるんです。また、練習はむやみに長時間取り組むのではなく、2時間程度に絞って集中させるようにしています。授業も部活も、そうしたメリハリをもたせることを大切にしています」。
多忙な日々を送る吉川先生だが、充実感に満ちた表情を見せる。
「私の好きな“建築”と“ボクシング”、その両方に携われていることが本当に嬉しく、日々の原動力になっています。どんなに大変でも、これらを教えられる喜びを噛み締めています」。
そんな吉川先生に、教員としてのやりがいや今後の目標を伺った。
「やりがいを感じる瞬間は多々ありますが、その中でも象徴的なのは卒業式です。苦労したことや手がかかったことなど色々な思い出がありますが(笑)、生徒が立派に旅立っていく姿を見ると心から感動します。私自身もそうした生徒の成長に負けないよう、2級建築士の資格取得にも挑戦したいと考えています。教員自らが資格を持ち、学ぶ姿勢を見せることで、指導にもより説得力を持たせたいですね」。
これから社会へと羽ばたく生徒たちには、温かくも力強い言葉を贈る。
「自分を信じてトライすることを大切にしてほしいです。昨今は自分で物事を決めるのが苦手な生徒も多く見受けられますが、間違ってもいい、失敗してもいいから、自分の可能性を信じて決断し、様々なことに果敢に挑んでほしい。私たち教員も、そうした挑戦を見守っていきたいです」。

弘前市役所からの依頼で、建築科の生徒たちが3年がかりで取り組んだ『かくは宮川デパート』のミニチュア模型修復プロジェクト。かつて中心市街地のシンボルとして親しまれた歴史的建造物を、ほぞ継ぎや相欠きといった伝統的な木材加工技術を駆使してよみがえらせた。「現場で組み立てながら生きた知識を学べた」と、生徒たちにも確かな手応えを残している。

「ときには雑談などを交えてリラックスしながら、物事に取り組むときは真剣に。授業においても部活動においても、そうしたメリハリをしっかりと分けるよう指導しています」と話す吉川先生。日頃の挨拶や清掃といった基本的な姿勢を重んじるのも、生徒たちが社会に出て現場に立った時、周囲から親しまれ、信頼される人材になってほしいという願いからだ。
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弘前市庁舎本館
吉川先生が選んだのは、弘前公園のそばに佇む弘前市庁舎本館。日本のモダニズム建築を牽引した建築家・前川國男氏の設計により、1958年に建設された建物です。打ち放しコンクリートの力強い外観と、周囲の歴史的景観とが見事に調和したモダンな造りを特徴とし、2015年には国の登録有形文化財にも登録されました。弘前市内には前川氏が手掛けた建築物が多く残されており、建築を学ぶ生徒たちにとっても生きた教材となっています。 |


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