FOCUS

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2023年12月・2024年1月 No.554

高校生活という限られた時間こそ有意義に!実務経験を活かした、生徒の未来を見つめる育成!

生徒へ伝えたい
実務経験で得た学び。

 民間企業で働いた経験もある石井先生。授業の中にも実務経験を活かした指導を取り入れている。

「建設業は多くの人と協力し、ときには困難な課題や突発的な問題に立ち向かいながら、責任を持って進めていく仕事。民間企業での経験を通して、コミュニケーション能力や問題解決能力、柔軟な適応力の重要性や、技術者としての心構え、挑戦や創意工夫の大切さを学ぶことができました。具体的な体験について授業の中で触れたり、現場に近い施工体験を実習の中に取り入れるなどして、少しでも学びを伝えていけるよう努めています」。

 また自身の経験を踏まえたうえで、生徒の将来を考慮して資格取得についても果敢に働きかけている。

「資格はその人自身の技術力や知識力の証明になり、取り組む仕事や給与、生徒の将来にも密接に関わってくるもの。授業を資格に関連付けて展開したり、将来設計をするうえでどのように資格が活用できるかを実例をあげて説明したりするなど、まずは生徒が自主的に資格取得を目指す意識を持てるよう図っています。またジュニアマイスター顕彰制度についても説明し、資格・検定に向けた努力はしっかりと評価されるということを伝え、“やらされる”のではなく“自ら取り組む”という意識が定着するよう促しています」。

 

豊かな人生のための
高校生活を!

 “生徒に寄り添いたい”という想いが、石井先生が教員となった原点だ。

「生徒は高校生活を経て、卒業を境にこどもから大人へと成長していきます。その成長過程にこそ、教員として生徒の気持ちに寄り添った指導やフォロー、サポートがしたいと以前から考えていました。私が教員となる前に民間企業に勤めたのも、まずは建設業を自ら体験し、生徒に活きた学びを届けたいという想いからです。また実務経験を通して改めて私自身も、暮らしにとって“当たり前”の存在である道路・橋・鉄道・トンネル・上下水道といった生活基盤を支える土木の仕事に携わる誇り、スケールの大きなものづくりに関わる喜びを実感することができました。土木に関わる教員として、その素晴らしさをしっかりと生徒に伝えていきたいと思っています」。

 生徒には高校生活の中で“時間の有限性”と“感謝の心”を培ってほしいと話す。

「高校生活という貴重な期間の中で、自分自身に何ができるかを常に考え、人生を少しでも豊かにするために時間を有意義に使ってほしいです。うれしいこと、悲しいこと、楽しいこと、苦しいこと、様々な経験が人を強くするものですが、大人になってからでないとその大切さに気づくのは難しい。あのときこうしておけば…と考えることは私自身にもよくあります(笑)。ぜひ様々な経験のために時間を投資し、将来をより良いものにしてほしいです。加えて大切なのは、土木の仕事も含め、身の回りの人やものに感謝する心を養うこと。構造物や建築物も“ただそこにあるもの”ではなく“なくてはならないもの”として社会と関わっています。“当たり前”と思っているものにこそ注目し、感謝する心を育んでほしいと思います」。

 生徒にも、自身に向けても、一所懸命という言葉を掲げる石井先生。今後も“生徒に寄り添いたい”という原点は変わらない。

「新学習指導要領へと移行し、私たち教員の意識も抜本的に変えていく必要があります。そして生徒の価値観も変わりゆく中で、私自身も教え方や関わり方を常にアップデートしていくことが大切。“生徒に寄り添いたい”という想いを芯にして、今後も生徒の学びを支えていきたいと思います」。

 


課題研究として取り組んだ、校内のインターロッキング舗装。水はけの悪かった未舗装の敷地に通路を整備した。「生徒たち自身で図面を引くところからはじめ、勾配をつけたりタイルを敷き詰めたりと、現場に近い施工を体験することができました。自分たちで暮らしをより良くしていく感覚も養えたと思います」

 


各専門工事業団体と連携した講習会をはじめ、様々な取り組みを実施。「左官技術講習会や測量技術講習会、クレーン実技体験講習会や鉄筋技能講習会など、ひとつだけでなく多彩な仕事に触れること、そしてできる限り現場で活躍する方・プロの方と接する機会を積極的に設けることで、現場に近い環境を体感できるようにしています」

 

東名高速道路

石井先生が選んだのは、民間企業に勤めていた際に改修工事で関わった東名高速道路。「まだまだ現場では新米でしたが、自身が関わった場所として思い出深いです。高速道路を自分の足で歩くといった体験も、普通に生活をしていたら体験できないもの。民間企業に勤めた経験は、私にとって想像以上にプラスになりました」

 

 

千葉県立京葉工業高等学校

〒263-0024 千葉県千葉市稲毛区穴川4-11-32
WEB:https://cms1.chiba-c.ed.jp/keiyo-th/

 

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