FOCUS

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2022年12月・2023年1月 No.544

1日40人の生徒と話して信頼関係を構築。21世紀を生きる有徳のエンジニアを育てる!

教員連携・地域連携で
生徒を温かく見守り支える

そうした取り組みとあわせて、教員間で密に意見交換をするための『ディスカスボード』を職員室に設置したり、地域の他校と連携して特徴的な授業を共有するツールを設けたりするなど、様々な試みで学びを支える体制を構築している同校。生徒たちものびのびとした環境の中で明るい笑顔を見せる。

「本校の特徴って何だろう?と周りにたずねると、必ずと言っていいほど挙がるのが“挨拶”という言葉。学校全体として明るい挨拶が飛び交っているのが、本校の特徴の一つです。これは先輩から後輩へと受け継がれた伝統校の良さであり、求められる協調性やコミュニケーション能力の基礎とも言える部分。学校生活を通して、そうした本校ならではの良さを身に着けてほしいです」

明るい校風を感じる同校を、地域も温かく見守っている。

「沼津建設業協会さまを通してご紹介いただいた企業さまへのインターンシップなども、生徒が将来像をイメージする手がかりになっています。地域の企業さまには現場見学会や出前授業などでもお世話になっており、非常に大きな支えと感じています」

昨年は有志とともに『沼工改革推進委員会』として活動した千葉先生。
「定員割れなどが起こる中で、改善策を若手教員で話し合いました。
その中で挙がった“対象となる中学生に合った広告が望ましい”という意見にもとづき、
本校でもTwitterやInstagramなどを開始。SNSを積極的に活用して本校の魅力発信を図っています」

この町を守り、支え、造っていく
技術者たちを育てたい

教員となって4年目。生徒と明るく話す姿が印象的な千葉先生だが、教職に就いて1、2年目は非常に苦労したそうだ。

「私自身は普通科から進学して教員となったので、他の多くの先生方と比べて工業高校への認識や知識、実習経験の不足を感じていました。生徒たちも教壇に立つ先生のことをしっかりと見ているので、教える側の“浅さ”は伝わってしまうもの。だからこそ、自主的に技術者向けの講習会や企業セミナーに参加したり、道路舗装現場を見学させていただいたりと、積極的に知識や経験を得ることに努めています。生徒に同行する現場見学会や出前授業は、私にとっても貴重な体験機会。測量についても改めて学び直し、今は自信をもって生徒に教えられるようになりました」

また土木学会のシンポジウムに参加したり、現場を知るOBの声を聞いたりするなど、最新の現場を常に把握できるようアンテナを高くしている。

「現在はドローン測量についての学びに力を入れているところ。本校でもスマート専門高校推進事業の一環として新たにパソコン室ができたので、ゆくゆくはドローンのデータと解析ソフトを使った実習などを行っていきたいです。生徒には常に最先端の技術や情報を教えていきたいですね」

そんな千葉先生が大切にしているのが、生徒との信頼関係の構築。お世話になった大学教授のアドバイスがその指標となっている。

「奨められたのは『朝に10人、昼に10人、帰りのショートホームルームに10人、掃除の時間に10人と会話をすれば、1日40人の生徒と話せる。それを毎日続ければ、自ずと信頼関係が築ける』ということ。信頼関係のためにはまず声がけが大切、ということを教えていただきました。私自身も人と話すことが好きな性格なので、生徒とは意識的に話すよう心がけています。話がしやすい環境をつくることは、生徒がのびのびと成長することにもつながると感じます」

中学生のときに故郷の仙台市で東日本大震災を経験し、インフラや社会基盤を支える土木の大切さを知った千葉先生。そんな自分が今、沼津という地で教鞭をとることにも不思議な縁を感じている。

「静岡県は南海トラフ巨大地震に備えている土地でもあります。私が教育に携わった生徒たちが、いずれはこの町を守り、支え、造っていく技術者になってくれたら、これに勝る喜びはありません。そんな未来を期待しながら、これからも生徒と向き合い、ともに学んでいきたいと思います」

高校生ものづくりコンテスト東海大会出場者の選出も兼ねた
『静岡県ものづくり競技大会』に向けて練習を重ねる生徒たち。
部活動ではなく、生徒有志によりチームを組んでいる。
「教員も適宜アドバイスはしますが、基本は先輩たちが後輩たちに教える生徒主体のスタイル。
大会に向けて一丸となって取り組んでいます」と千葉先生も笑顔を見せる

 

沼津港大型展望水門 びゅうお

津波対策の一環として2004年に完成した水門。地上30mに展望施設が併設された、沼津港のランドマークです。「海が好きでよく散歩をするのですが、その時に目にするのが沼津のシンボルになっている『びゅうお』です」夜間にはライトアップもされる、千葉先生お気に入りのスポットです。

 

 

静岡県立沼津工業高等学校

〒410-0822 静岡県沼津市下香貫八重129-1
WEB:http://www.edu.pref.shizuoka.jp/numazu-th/home.nsf/

 

◎本誌記事の無断転載を固く禁じます。

 

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