FOCUS

FOCUS
2022年12月・2023年1月 No.544

1日40人の生徒と話して信頼関係を構築。21世紀を生きる有徳のエンジニアを育てる!

“沼工”の愛称で親しまれる、創立80年以上の伝統ある静岡県立沼津工業高等学校。静岡県東部地域を代表する工業高校として数多くの人材を輩出する同校では、『21世紀を生きる有徳のエンジニアの育成』を掲げ、生徒たちの資質・能力を育む様々な取り組みを行っています。その狙いや内容、展望について、同校の都市環境工学科・千葉智博先生にお話を伺いました。

育成する生徒像を確立!
PDCAサイクルで意欲と成長を引き出す

例年高い就職率を誇る同校。企業で要職に就いているOBも多く、卒業生と学校とのつながりも就職に強い要因であると話す千葉先生。そうした中で課題となっているのは、新たな入学志願者の獲得だ。

「志願者の減少や定員割れは、他の工業高校と同じく本校でも起こっています。工業高校の魅力をどう伝え、本校の魅力をどう高めていくかは、近年抱えている大きな課題の一つです。その中で本校では2020年度に、新学習指導要領(2022年度より実施)も見すえた新たな教育の基本構想となるグランドデザインと、育てるべき生徒像を示すグラデュエーション・ポリシー(GP)の作成に着手しました。まずはアンケートを行い、本校の教員や地元企業の方などを対象に、本校の卒業生に求める資質について答えていただきました。興味深かったのは、私たち教員が知力・学力などを重視していたのに対し、企業の方は協調性やコミュニケーション能力を重視する回答が多く見られたことです」

そうした地域のニーズなども踏まえ、目指すべき生徒像を『21世紀を生きる有徳のエンジニア』と定めた同校。新たな取り組みの一つとして【沼工GP自己評価】というチェック表を設けた。

「【沼工GP自己評価】は、協働力や行動力といった資質・能力を項目化したもので、生徒たち自身に自己評価をさせるチェック表です。生徒たちの現状を見える化するとともに、PDCAを繰り返すことで課題をクリアし、成長していける仕組みとして取り入れています。アクティブ・ラーニングが重要視される中で、【沼工GP自己評価】は学習意欲を高める施策としても有効だと感じます。生徒たちには多角的な視点をもって力を伸ばしていってほしいですし、本校の考え方や取り組みが地域の方や企業の方にも魅力的に伝わればと思います」

1 2

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら