特集

特集
2017年11月号 No.493

災害から地域を守る~建設業だからできること~

災害時の情報共有・情報発信について ~岩手県建設業協会の取り組み~

一般社団法人 岩手県建設業協会 http://www.iwaken.or.jp/

岩手県建設業協会では、日々の協会活動を「いわけんブログ」(http://www.iwaken.or.jp/info/)で情報発信しています。東日本大震災においては、発災翌日には久慈支部から現地の情報が発信され、被災地の情報が乏しいなかで大変注目を集めました。岩手県建設業協会でIT化の推進を牽引してこられた広報委員会委員長の向井田副会長と村上千厩支部事務長のお二人に同協会の情報共有・情報発信の取り組み等について、お話しを伺いました。

いわけんブログより東日本大震災翌日の投稿


向井田岳副会長

協会イントラネットの構築が始まり

まず、協会内部の情報共有についてお話します。平成13年頃になると思いますが、ITコンサルタントの桃知利男氏の指導を受けながら、協会イントラネットを構築しようと活動を始めました。ちょうど電子納品・電子入札が推進され始めた頃でしたが、パソコンやインターネットがまだまだ普及していない時代です。先進地の事例を見たり、役員さんたちを説得したり、県内各地で講習会や説明会を開催したりしました。平成16年には、当時の会員企業約760社を結ぶ、全国的にも類を見ない全県単位での運用を開始しました。協会という組織である以上、企業規模に関係なく全会員を結んで情報共有を行ってきました。災害などの緊急時にも本部・支部間の情報共有に活用して来ました。

「いわけんブログ」のコンセプト

内向きの情報共有から、外向きに情報を発信しようと始めたのが、平成19年に運用開始した「いわけんブログ」です。理屈ではなくて、我々の普段の活動を県民の皆さんに見て知って貰おうというのがコンセプトになります。最低限の投稿ルールは決めていますが、内容は行事でもいいし、桜の開花などの地域情報でもいい。文章も簡単でいい。ルールで縛りすぎると抵抗感が出てしまう。
毎年、13支部の職員と会員企業から選抜したITサポートチームの合同研修会を継続しています。繰り返して研修を行うことで投稿数が確実に増えています。投稿数などで、よくやってくれている支部には表彰もしています。

災害時における迅速な情報発信について

日頃から投稿することで、職員の能力が自然に上がります。東日本大震災や昨年の台風10号災害など、非常事態の中でも迅速に情報発信ができました。投稿を見て、不足している物資を送っていただいた例もありました。毎年の研修会では、テクニカルなこと以上に「何のために投稿するか」という目的を教えています。
なお、3月11日を協会の「防災の日」と定め、情報伝達訓練を実施しています。震災の経験から、最悪の事態でも比較的有効だった衛星携帯電話を導入しました。災害時にインターネット回線が強いことを踏まえ、スカイプを使ったビデオ通話も導入しています。発電機はコンパクトで使いやすいものとしてガスカセットボンベ式のものを選択しました。デジカメのGPS機能を使って地図上で情報共有できる仕組みも構築中です。これらを活用した訓練を繰り返し実施しています。

災害時に情報発信する難しさ

被災して犠牲者がいるような現場でシャッターを切ることには葛藤があります。情報を発信する際は被災された方々への配慮を忘れてはいけません。また、迅速さも大事ですが、錯綜する情報を整理して出さないと余計に混乱を招いてしまうことがあります。情報を整理することが本部の重要な役割だと考えます。

使いやすさが重要

ITはあくまで手段であって目的ではありません。知識と技術がある人だけが使えるということではダメです。今後、より使いやすく、より安価なものが出てくれば切り替えていくことも必要です。情報共有や情報発信することが目的ですから、とにかく誰にでも使いやすいということが重要です。


漫画「我らイワケン株式会社」

岩手県雫石町在住の漫画家そのだつくしさんに制作を依頼。作者自ら実際の建設現場に足を運び、「縁の下の力持ち」としての建設業の姿を率直に表現。岩手日報やNHKにも取り上げられる。意外なところでは歯科医師会を通じて県内の歯医者さんにも常備。少年院でも読まれている。作成にあたって、向井田副会長は、飾らないリアルな建設業を表現してもらうよう気を付けたとのこと。


http://www.iwaken.or.jp/cat-79/post_20.html

1 2 3 4 5

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら