特集

特集
2017年11月号 No.493

災害から地域を守る~建設業だからできること~

学生を対象とした「土のうつくり体験」で地域の防災意識の向上に貢献

一般社団法人 愛知県建設業協会 http://www.aikenkyo.or.jp/

近年、局地的な豪雨による水害が各地で発生しています。水害から家や家財を守るために活用される「土のう」。一般社団法人愛知県建設業協会では、「建設業だからできること」をテーマに、「あったらいいな!! 土のうで浸水から守ろう」運動を展開しており、平成24年から県内の高校生等を対象として「土のうつくり体験」を実施し、地域の防災意識の向上に向けた活動を行なっています。活動から今年で6年、これまで12校で実施してきました。この活動について同協会専務理事の大西克義氏、上席の平野正公氏にお話を伺いました。

「土のう」つくりを通して建設業へ関心を持つきっかけに

きっかけは、東日本大震災復旧支援を機に、建設業の災害に対する活動に注目し、協会内に災害対策委員会を発足させた際、「防災を通じて地域に貢献できることとは何か」と考えたことでした。この地域は古くは伊勢湾台風、平成12年には東海豪雨で被災し、近い将来に南海トラフ巨大地震が起こると言われています。最近は突発的な洪水・浸水被害が起こる可能性も高く、災害のニュースで建設業の活動は報道されなくても土のうは目にしているということで、「土のうつくり」に着目しました。災害には「自助・共助」が求められますが、地域は高齢化が進み、今後は若い人の力が必要と感じ、また、高校生が社会に目を向けるきっかけにもなると思い事業をはじめました。

土のうつくり体験の様子。作った土のうは地域の人たちも自由に使えるようシートに覆われ保管される

土のうつくり体験では、最初に愛知県の職員による出前講座で防災に関する座学を受けた後、土のうを作る、運ぶ、積み上げるという一連の作業を行います。スコップを持つのも初めてという子も多く、とまどいも見られますが、やり始めるとだんだんと表情が変わり、楽しみながら積極的に取り組んでいます。防災の意識を浸透させるのは難しいので、この「楽しみながら」やって貰い、「やって良かった」と感じて貰うことを大切にしています。

体験後は土のう袋やスコップなど機材を寄贈

土のう袋や砂のほか、一輪車やリヤカー、生徒が使うスコップなどを学校に持ち込み、体験終了後はそのまま学校や地域の方に使っていただけるよう寄贈しています。そのため土のう袋は劣化しにくいUV加工素材を使用し、この学校に「土のう」が残るということが、終了後も学校を通じた地域へのPRになっています。
また、こうした活動は会員企業の協力があってのことです。やはり地域のことを一番知っているのはその地域の企業ですので、体験を行う高校に近い地域の企業に行ってもらうようにお願いしています。

防災ガイドブック「備える!!」も作成

土のうつくり体験は、いろいろな防災イベントでも行なっています。このほか、防災に関する活動として、地震・津波・豪雨などにどう備えるかや被災時に役に立つ情報を幅広に掲載したガイドブック『備える!!~これだけは知っておきたい「いのち」の守り方』を作成し、イベントや学校行事にて配布しています。地元ラジオ番組の中に持つ協会のコーナー『ラヴなご♥』でも防災に関する広報活動も積極的に展開しています。
建設業は「建てる」「つくる」というイメージが強く、防災というイメージになかなか結びつきません。「土のう」をきっかけに建設業が災害から地域を「守る」というイメージを持って欲しい、地域に根ざした建設業者は地域のことを良く理解しており、地元に対して責任を果たしていきたい、このような思いから、防災意識を高めると同時に地域の建設業のイメージアップにつながるよう、これからも活動を続けたいと思います。

協会が作った防災に関するガイドブック

1 2 3 4 5

関連記事

しんこう-Webとは
バックナンバー
アンケート募集中
メールマガジン配信希望はこちら