特集

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2019年12・2020年1月号 No.514

専門学校生&大学生の就職活動最前線

 会社説明会やインターンシップでは、
 企業のどのようなポイントをよく見るよう指導しますか?   

山野 専門学校では中小規模の企業にも訪問します。そのときは、社長をよく見るようにと指導しています。大企業とは違い、中小企業のカラーは社長の人柄によるところが多いですからね。そこは大事なチェックポイントだと思います。

栗﨑 そうですね。大学の場合は、基本的にはゼミが指導母体ですから、縦のつながりが非常に強い。そこで、先輩が辞めていない企業をちゃんと見るように言っています。最近では企業の方も、ゼミの先輩を直接ゼミに行かせ、説明をさせるという採用戦略をとっているようです。だいたい入社1年目の社員を送りこんでくるので、ゼミでは顔見知りも多い。かしこまらずに、会社について仕事についての本音トークをしていますね。

山野 OB訪問でいうと、専門学校では中堅どころに成長した卒業生から、「誰かいい人材はいませんか?」と電話がかかってくることが増えました。ときには「会社が人手不足なので、OB・OGとして説明に行ってもいいか」と相談が来て、急遽、即席の企業説明会を開催したこともありました。年齢は離れていても先輩ですからね。先輩の姿を見て興味をもった学生がおり、結局3名採用が決まりした。

栗﨑 OBの影響力は、確かに大きい。たとえば合同企業説明会でも、OBがブースについてくれると印象に残りやすく引きが強い。合同企業説明会の場合は、学生はどうしても大きな企業のブースに集まりがちです。我々が同行していたら、「あの企業には先輩がいるからとりあえず話を聞いてくるように」と、中小企業ブースに導くことができますが、常にそういった指導は不可能です。合同企業説明会で大切なことの一つは、学生に中小企業を知ってもらうことだと考えています。そのためにも、今以上の工夫が必要なのかなと思います。

山野 定型の会社資料以外に、手掛けた工事の写真があると学生にはウケがよいですよね。中小企業だからこそのインパクトだと、たとえば社長が乗っている車を見せる。「将来、こういう車に乗れる」というと、専門学校生だと非常に興味を示すと思います。
最近はパソコンを持ち込まれて、動画を流している企業も多いですね。その内容が、企業規模に関係なく社員を大切にしているぞというものや、企業の個性・特色を表わしたもの4だと効果的なのではないかと思っています。

POINT4 社員を大切にしている…
たとえば、毎年会社で行っているバーベキュー大会や、社員旅行の様子。また、「うちの現場のトイレはこんなにきれいだよ」というような、会社が社員のために力を注いでいるPRポイントなど。

 

 専門学校、大学と企業はどのように関係性を築けばいい?   

山野 まずはキャリアサポートセンターや就職部にお問い合わせをいただければいいですよね。

栗﨑 そうですね。企業の採用担当の方から就職部に連絡をいただけば、各学部学科の就職指導担当の教員につながります。我々も基本は接触や訪問を断ることはありません。最初は「学校で行っている合同企業説明会に参加したい」などのお問い合わせでも大丈夫です。関係を築くことができたら、「中途採用で誰かいませんか?」などのご要望にも、タイミングが合えばお応えできるかもしれません。

山野 そうですね。これまでお付き合いのある企業の方はもちろん、今までにお付き合いのない企業の方も、ぜひ学校にお越しください。「いきなり訪問しても相手にしてもらえない」などとお考えにならず、情報や意見を交換しながら少しずつ関係を築いていきたいと思っています。

栗﨑 訪問初年度に期待通りの結果がでなくても、2年目、3年目くらいのスパンで考えていただけたらと思います。今、建設業はさまざまな改革が推進され、古い体質の悪い部分が徐々に改善されてきていると感じています。大学生、専門学校生はもちろん、高校生にも「建設業はいい業界だぞ」とさらに自信をもって伝えられる業界になって欲しいです。また、ものづくりの楽しさや、建物が完成した時の感激、携わった建物が利用されているところを見る喜び等業界の“いいところ”を、もっとアピールできるようになればいいなと思います。

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