特集

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2017年6月号 No.489

建設業×ダイバーシティで働き方も変わる

事例紹介 CASE 01
建設業界のダイバーシティを推進

清水建設株式会社

1804年創業の大手総合建設会社として業界を牽引し続けてきた清水建設。多様な人材の活躍を後押しするため、2009年に「ダイバーシティ推進室」を設立するなど全社的な取り組みが進められています。施策の目的や進捗についてお話を伺いました。


人事部 ダイバーシティ推進室 室長 西岡 真帆

将来に向けた事業戦略を鑑み多様性の持つ力を組織に育む

清水建設の「ダイバーシティ推進室」では、女性活躍推進、外国籍(留学生)の採用と育成、障がい者の雇用を3本柱として取り組みを進めています。そこには、同社の未来に向けた経営戦略「Smart Vision 2010」に基づき、戦略的な人材活用を図る意図があります。「国内の建設需要は中長期的には先行きが不透明であり、新たな収益源の確保が課題となっています。そこで当社ではコアビジネスである建設事業に加え、『グローバル』『サステナビリティ』『ストックマネジメント』の3事業を次代の収益の柱の構築に向けた重点注力分野としています。事業領域を広げていくためには、これまで活躍してきた人材に加え、異なる価値観やバックボーンを持つ多様な人材の活躍が欠かせません」(西岡さん)
そうした考えのもと、経営層が率先して制度・意識改革を行ない、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれる等、成果を高く評価されるようになりました。

女性活躍推進を通じて環境改革 すべての人が働きやすい職場へ

業界でいち早く制度改革を進めてきた同社ですが、社内に戸惑いや反感もあるといいます。
「無理に“変える”のではなく、世の中の流れを感じ、各人の体験から自ら“変わる”ことが大切と考えています。例えば、当社でも2008年から女性の採用を継続的に行っているため、産休・育休を経て再び働く人が増えました。彼女たちが柔軟な働き方で成果を上げることで理解や支援が進み、空気も変わりつつあります。そうした機運を察知し、気づきを与えて後押しするのが私たちの役割です」(西岡さん)
2015年から開催している「イクボスセミナー&アワード」も施策の1つ。部下の私生活とキャリアを応援する役職者を表彰することで「様々な事情を抱える人が力を発揮できる環境とは何か」を意識し、“自分ごと”として捉える機会になりました。
「育児で支援が必要な女性が介護休暇中の上司をフォローすることもあれば、小さな手助けを得た障がい者がチームに新たな視点をもたらすこともあります。何に困っているのか、どんな支援が必要なのか、互いの事情や思いを知り、助け合える組織となれば結束も高まり、企業価値も高まると確信しています」(西岡さん)


上)イクボスセミナーの様子。2016年度は国内外の外勤従業員120名の男女が参加。 下)「イクボスアワード2016」受賞者のみなさん。

今後は次代に向けた“男性”の活躍推進も大きなテーマだそう。単なる弱者支援ではなく、事情を抱えながらも『がんばりたい』人が力を発揮できる…。真の「ダイバーシティ」を目指して、清水建設の取り組みは続いています。

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